演歌歌手・たなかはなさん「私なりに恩返し」 コロナで“足止め”も壱岐で活動

「にっぽん全国かっぱ祭り」を歌うたなかはなさん=壱岐市芦辺町、イオン壱岐店前

 「日本一周演歌旅」を続ける演歌歌手、たなかはなさん(27)が長崎県壱岐市で路上ライブなど音楽活動を重ねている。5月11日に来島したが新型コロナの影響で想定以上の長期滞在となり、もう20回もライブをこなした。伸びやかな歌声は、コロナ禍で疲れた島民に活気と希望を与えている。

 北海道石狩市出身。2017年にデビューし、現在は個人で活動している。
 たなかさんの動画配信サイトを見た壱岐市民が、河童(かっぱ)を題材にした楽曲が壱岐にある伝説にぴったりだと感じ、来島を依頼。もともと「日本一周演歌旅」を構想していたたなかさんの思いと合致し、壱岐でのライブが決まった。
 たなかさんは自ら車を運転し車中泊で全国を巡回。長崎県が13府県目。壱岐が旅をスタートするきっかけだったこともあり、当初、5月13日から20日までの滞在を予定していた。だが、全国的に新型コロナの感染者が増えてきたことから予定を大幅に変更。抗原検査をした上で11日に壱岐に入った。
 14日、「海の駅 湯がっぱ」を運営する任意団体「湯本(ゆのもと)きばろう会」(品川直毅会長)と連携し、河童伝説が残る同市勝本町の伏見稲荷神社で、持ち歌の「にっぽん全国かっぱ祭り」「かっぱの旅がらす」の2曲を歌った。15日は湯本温泉で温泉に入りながら動画ライブを敢行した。
 市内の商業施設や駐車場などでも、観客との距離を取った上で歌声を披露。28日の芦辺町、30日の勝本町での屋外ライブには合わせて約200人の観客が訪れた。
 何度も歌を聴いた勝本町の大久保武七郎さん(76)は「声がよく出ている。人気が出るよう頑張ってほしい」とエール。芦辺町の中村邦男さん(68)は「生で歌を聴くのは久しぶり。聴いていた人がみんな喜んでいたので街が明るくなった」と喜んだ。
 たなかさんは、6月9日から長崎市など県本土を回る計画だったが今のところ白紙。壱岐には14日まで滞在する予定。旅は足止めを強いられているが、できる範囲で島で活動するつもりだという。
 「コロナ禍で人前で歌うことさえ『罪』とされてきたが、応援してくれる方々には本当に感謝している。壱岐では長期滞在させていただき、たくさんの人に受け入れてもらえた。私なりに精いっぱい歌って恩返ししていきたい」。
 たなかさんの活動やスケジュールは会員制交流サイト(SNS)などで見ることができる。

観客を前に熱唱するたなかはなさん=壱岐市芦辺町、瀬戸浦

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