産休・育休中の家計によくある3つの誤解、夫婦で話し合うポイントは?

共働き夫婦の場合、収入や支出を別々に管理していることが珍しくありません。しかし、妊娠・出産というイベントを迎えると、「ママの収入が減る」「必要な生活費が増える」「教育費を貯める」など、夫婦で協力して家計をやりくりしていく必要性が高まります。

そこで、産休・育休中に夫婦で家計について話し合うときのポイントについて、「産休・育休中のよくある誤解」と合わせて紹介します。


誤解1:産休・育休手当が給料の代わりになる?

産休・育休中は「出産手当金」「育児休業給付金」で給料の半分~3分の2がカバーできることはよく知られていますが、給料と同じように使えると考えるのは少々危険です。

毎月振り込まれる給料と違って、手当金や給付金は申請して初めて口座に入金されます。一般的には休業開始から2カ月または3.5カ月経ってから申請するので、入金までは約3~5カ月かかります。

例えば出産手当金の場合だと、次の図の通り、産後休暇が完了してから申請すると、休業開始から約5.5カ月後となります。

入金がない状態でこれまで通りの生活費を負担しようと思うと、お金が足りない状況に追い込まれるママも少なくないでしょう。加えて、妊娠・出産時は予想外の医療費が発生することもあります。

まとまった現金がないときは、早めに夫婦で話し合うことが大切です。「手当金や給付金はこまめに申請する」「夫が妻にお金を渡す(または貸す)」「妻が使える家族カードを作り、生活費や医療費の支払いに使う」など、対策を決めておきましょう。

誤解2:職場復帰すると家計が元に戻る?

産休・育休中は収入が落ちて家計が厳しくなっても「職場復帰すれば、家計は休業前のように戻るはず!」と期待していませんか?

残念ながら、職場復帰後も家計状況が改善しないこともあるため、楽観視するのは危険です。子どもが生まれると自然と働く時間が制限されるため収入は下がりやすく、生活費や保育料で最低限必要な支出は増えます。さらには、教育費やマイホーム資金など、将来に向けて貯蓄の必要性も上がります。

特に短時間勤務で復帰する人や、休業前は残業代や賞与の割合が高かった人、高額な保育料がかかる人、働くことで被服費や交際費、食費などが上がると予想される人などは、注意が必要です。

産休・育休によって予想される家計の変化は次の表の通りです。家庭による差が大きいので、自分家の場合は収入・支出・必要な貯蓄がどう変わるのか、具体的な予想金額を考えてみると良いでしょう。できれば表計算ソフトや家計ノートなどに情報を整理して、夫婦で内容を共有するのがおすすめです。

誤解3:高額な教育費が必要?

産休・育休中は、教育費の貯め方を夫婦で計画することも大事です。必要な教育費は1,000万円や2,000万円だとか、高額な数字を耳にするかもしれませんが、これは平均的な教育費を合計したもので、進学先が国公立か私立かでも大きく違ってきます。

最低限かかる教育費だけに注目すれば、小学校から高校まで公立の場合、学校の授業料や教材費、給食費などで月平均1~2万円ほどと、それほど高くはありません。

ただ、大学進学にかかるお金は低くないので、高校3年生までに300万円~500万円ほどのまとまった貯金を貯めることを目標にしましょう。貯金300万円は、国からもらえる児童手当(合計約200万円)に加えて、自分たちのお財布から毎月1万円を貯金していけば達成できる金額です。

教育費の平均金額が高くなる原因は、習い事や塾、部活動などにお金をかけるためです。いくら子どものためと思っても、夫婦で教育方針についてよく話し合い、家計に無理が出ないよう、財布の紐は緩めすぎないことが大切です。

夫婦で「必要な貯蓄」の認識をすりあわせよう

健全な家計を作る方法はシンプルで、「手取り収入-必要な貯蓄=使えるお金(支出の予算)」を実行できれば、実現できます。ただし、「使えるお金」にばかり注目していると、夫婦喧嘩のタネとなります。

まずは「必要な貯蓄」について、夫婦で共通認識を作ることが重要です。子どもの教育方針やマイホームの希望、今後のキャリアプラン、老後の生活感など、夫婦で将来の夢を語り合いながら、実現のために必要なお金がいくらなのか調べてみましょう。具体的な金額の見通しがつかないときは、家計の専門家に相談に行くのもおすすめです。

夫婦で話し合って決めた目標の貯蓄額があれば、目標達成のために支出の削減にも前向きに取り組めるのではないでしょうか。支出の削減は簡単ではないので、お互い励まし合いながら行えると理想的ですね。また、支出の削減があまりに苦しく感じるようなら、高すぎる目標設定を見直すのも有効です。

子育ては「親育て」ともいわれるように、子育てしながら親は成長していくものです。それと同時に、「夫婦力」も徐々に成長していくものだと思います。いきなり完璧を求めるのではなく、うまく協力し合えるやり方をお互い模索していき、家計のことも仲良く話し合える関係性を作っていきましょう。

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