F1 Topic:鈴鹿と連戦のシンガポールGPが中止に。日本GPの開催可否は「オリンピック後に政府と議論」

 6月4日(金)、シンガポールGP主催者とF1は、10月1日~3日に予定していたF1第16戦シンガポールGPの中止を正式に発表した。

 今年のカレンダーは第15戦ロシアGPから第17戦日本GPまでが3週連続開催となっており、その真ん中のシンガポールGP中止は、直後に控えている日本GPにとって、無関係ではない。

 ただし、シンガポールGPが中止になったからといって、それ自体が日本GP開催に向けて逆風になるというわけではない。

 確かにヨーロッパラウンド以外のフライアウェイ戦では、機材を空輸するための輸送費を近隣のグランプリ主催者同士で分担するのが慣例となっており、同じアジア圏で1週間前に予定していたシンガポールGPの中止は、コスト面で日本GP主催者であるモビリティランドに、さらなる負担を強いることになるだろう。

2019年F1第15戦シンガポールGP 決勝レーススタート

 しかし、それ自体が日本GP開催の可否を決定する重要な項目にはならない。なぜなら、レース数が20戦を上回るようになった最近のF1は、レーシングカーやパワーユニットなどの一部の機材を除き、F1チームは連戦に備えて、複数の機材をそれぞれの開催地に搬入しているからだ。

 つまり、日本GPの開催の可否は主催者のやる気と新型コロナウイルスの状況次第だということになる。

 その日本GPで今年、メインスポンサーとなっているホンダの山本雅史マネージングディレクターは「シンガポールGPが中止となったことは本当に残念」としつつも「しかし今回の決定によって、ホンダが鈴鹿で日本GPを開催したいという気持ちが変わることはない」と語り、「開催に関してはモビリティランドとF1の話し合いに期待したい」とF1ラストイヤーとなる今年の日本GPを是非とも鈴鹿で開催したいという強い気持ちを表した。

 アゼルバイジャンGPを訪問していたF1の新CEOのステファノ・ドメニカリはこう語った。

「日本GPに関しては、東京でのオリンピックがどのように行われるのかを注視している。オリンピックが終わってから、日本政府と話し合う予定だ」

 オリンピックまで50日を切り、オリンピックが東京を中心に開催されることはほぼ間違いない。あとは観客をどうするか。シンガポールGP中止によって、日程が変更する可能性は考えられるが、今年の日本GPが鈴鹿で開催されることを望まないという声はパドックからは聞こえてこない。

2021年F1第6戦アゼルバイジャンGP ステファノ・ドメニカリCEO(右から2番目)
ホンダがタイトルスポンサーを務める2021年の日本GPについては、ドメニカリCEOがオリンピック後に日本政府と話をするという

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