五輪最終予選が行われていた米フロリダ州で姿を消したロドリゲス
東京五輪アメリカ大陸予選の行われていた米フロリダ州で姿を消したソフトバンクの育成選手アンディ・ロドリゲス投手。亡命するために姿を消したと見られ、8日にオンラインで会見したソフトバンクの三笠杉彦取締役GMは現在、球団側も、キューバ野球連盟側とも音信不通の状態にあると説明した。
事態が動いたのはキューバ代表がアメリカ大陸予選で敗退した後だった。キューバはオープニングラウンドで2連敗して五輪出場権を逃した。ロドリゲスはモイネロ、デスパイネらと共に7日にフロリダを出発、8日に再来日する予定だった。
だが、現地4日(日本時間5日)に予定されていた渡航3日前のPCR検査の場にロドリゲスは姿を見せずに音信不通に。当然、搭乗予定だった航空機の出発にも現れずに行方をくらませてしまったという。
現時点で音信不通で所在不明となっているロドリゲス。三笠GMは「今後の球団内での協議になるが、連絡が取れていない状況です。報道の上では『亡命したのではないか』ということですが、定かではない。まずは、所在を確認する。まだ契約解除する意向はない。戻ってきてもらいたい」と語っている。
ソフトバンクでは2020年1月、当時在籍していたオスカー・コラス外野手がキューバ滞在中に失踪。メジャーリーグ挑戦のために亡命し、コラスはNPBから「他球団でのプレーや移籍を制限する」と定められた制限選手として公示された。昨年12月に自由契約となり、来年にはホワイトソックスと契約すると見込まれている。
「育成選手には制限選手というような制度はありません」
ソフトバンクとの契約期間内に失踪した点ではロドリゲスとコラスでは共通するが、コラスが支配下契約選手だったのに対し、ロドリゲスはまだ育成契約選手。そのため、三笠GMによると、今後の対応については違いがあるという。
コラスは制限選手として公示され、MLBにも通達される。制限選手の間は他球団とのプレーはもとより、契約することも認められていない。だが、それは支配下契約選手に限った話で、三笠GMは「育成選手には制限選手というような制度はありません」と説明。ロドリゲスが制限選手として公示されることはないという。
とはいえ、ロドリゲスとの契約が破棄されるわけではない。ソフトバンクとキューバ野球連盟、そしてロドリゲスの間では3年とも言われる複数年契約が結ばれている。プロ野球界は契約社会であり、原則、この契約期間が終わらない限りはロドリゲスはソフトバンクの選手ということになる。
コラスの場合、支配下登録選手であったが故に、仮に復帰した場合に備えて支配下登録70人枠のうちの1枠を空けておく必要があった。貴重な支配下登録枠を1つを使わなければいけない状況は、球団としても頭の痛い問題ではあった。
一方で、ロドリゲスは育成選手のため、この支配下登録枠には一切の影響を与えない。ソフトバンクとしては1軍の戦力として早期の支配下昇格も視野に入れていた選手だけに、こういった形での“流出”はなんともやるせないが、今後またこういった事態が起こらぬような措置を講じていってもらいたい。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)