雲仙市 観光客200万人割れ コロナ影響直撃 収束見据え観光戦略推進

雲仙市 観光客動向

 長崎県雲仙市がまとめた2020年の観光統計によると、同市内への観光客は延べ183万2123人(前年比33.4%減)で6年連続の減少。05年の新市発足以降初めて200万人を割った。新型コロナウイルス感染拡大による人流抑制の影響が、基幹産業の観光を直撃した。
 観光客の内訳は日帰り客が約122万1千人(同32.7%減)。滞在日数を客数に換算した「宿泊客延べ滞在数」は約61万1千人(同34.8%減)で、そのうち外国人宿泊客は前年から9割減の約6千人。修学旅行生は半減の約6千人だった。観光消費額は約139億7千万円(同32.6%減)。
 宿泊客数を月別で見ると、大型連休があった4、5月の落ち込みが最大。19年4月は約7万人、同5月は約10万人だったが、20年は両月とも約1万1千人にとどまった。その後は4~8割台を推移し、国県市の宿泊費助成期間と重なった7月だけが約6万5千人で前年を約1500人上回った。
 同市の観光客数は、昨年は新型コロナ禍で激減したが、15年から減少が続いている。旅行形態が団体から個人中心に変わる中で、同市は昨年から10年がかりで「6日間滞在できる雲仙」を目指す観光戦略を推進。コロナ収束後も見据えながら、少人数に長く滞在してもらい観光消費額を伸ばすため、旅先で休暇と仕事を両立させる「ワーケーション」客の受け入れ環境整備などに取り組んでいる。
 同市の旅館やホテルは新型コロナ感染防止策を徹底。雲仙の豊かな自然は、密を避けた「ウィズ・コロナ」「アフター・コロナ」の観光資源としての魅力も高い。金澤秀三郎市長は7日の定例会見で「新型コロナの感染状況を注視しながら、観光消費額に重点を置いた施策を積み上げていく」と述べた。

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