刑事司法と福祉の未来語る 検事総長と日弁連会長迎え 村木厚子氏講演 長崎で7月シンポ

 長崎新聞社は罪に問われた障害者や高齢者をはじめ社会的弱者の支援や共生をテーマとするシンポジウム「刑のゆくえ~生きる力の弱い人と刑事司法」を7月10日午後1時半~4時、長崎市茂里町の長崎新聞文化ホール・アストピアで開催する。
 元厚生労働事務次官で孤独・孤立対策を担う村木厚子政府政策参与が基調講演する。林眞琴検事総長、荒中(あらただし)日本弁護士連合会会長、社会福祉法人南高愛隣会(諫早市)元理事長の田島良昭最高検察庁参与を迎えてパネル討議し、刑事司法と福祉のいまと未来を論じ合う。
 2016年に施行された再犯防止推進法を受け、各自治体の再犯防止推進計画が動きだしている。罪に問われた障害者や高齢者について、これまで司法と福祉が連携して更生や再犯防止に向けた役割を担ってきており、今後は市町村や地域社会の関わりが大きくなると期待される。また法制審議会では刑罰制度が大きく変わる刑法改正が議論されるなど、司法制度は大きな転換点を迎えている。
 2部構成。第1部は基調講演。村木氏の演題は「罪に向かわせない」。村木氏は12年、「共生社会を創る愛の基金」を設立し、罪を繰り返す累犯障害者の社会復帰などに携わってきた。「若草プロジェクト」代表呼び掛け人として虐待や貧困に悩む少女や若い女性を支援している。今月1日、新型コロナウイルス禍で深刻化する孤独・孤立対策を担う政府政策参与に任命された。
 第2部はパネル討議。法曹界のトップ2人が、ともに親交の深い田島最高検参与を要として、刑事司法と福祉について意見を交わす異例の顔合わせとなる。
 討議では、南高愛隣会の研究と実践から制度化されてきた司法と福祉の連携について現状を分析し、だれもが安心して暮らせる社会の在り方を探る。「福祉活動家」として障害者と家族に寄り添い提言を続ける田島最高検参与、弁護活動と福祉との連携など社会的弱者を支える活動で知られる荒日弁連会長、検察改革など司法制度の見直しとその制度設計に携わってきた林検事総長が、それぞれの視点で議論を交わす。
 南高愛隣会は福祉と司法をつなぐ先駆的なモデル事業を県内で展開し、当事者を支える仕組みとなって全国に広がっている。

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