【陸上】山県が明かす〝9秒台〟への思い「本当に山あり谷ありだった」

山県亮太

陸上男子100メートル日本新記録保持者の山県亮太(28=セイコー)が9日、オンライン取材で〝9秒台〟への特別な思いを明かした。

山県は大学2年時に同種目で10秒08をマークすると、前回のリオデジャネイロ五輪では日本人最高タイムの10秒05を記録。「9秒台に最も近い男の1人」を言われてきたが、長年9秒の壁を破ることはできなかった。

それでも「9秒台を意識し出したのは、中学生のとき。自己ベストが11・4秒の頃から意識して、残りの競技人生で1・5秒を縮めてやると思った」と一心不乱に夢を追いかけ、6日に行われた布勢スプリント(鳥取・ヤマダスポーツパーク陸上競技場)の男子100メートル決勝で、9秒95の日本新記録を樹立。

「(9秒台に)残り0・4、5秒くらいまでは割とすぐにいったが、その残りを詰めるのが本当に山あり谷ありだった。ケガもあったし、ヒザを痛めてからは『9秒台のスピードにこのヒザは耐えてくれるのかな』と不安になった時期もあった。そういう意味でやっと出たなという思いが強い」と神妙に語った。

日本人で9秒台をマークした選手は、桐生祥秀(25=日本生命)、サニブラウン・ハキーム(22=タンブルウィードTC)、小池祐貴(26=住友電工)と山県の4選手。しかし、東京五輪の同種目には最大3選手しか出場できない。代表選考会となる日本選手権(24日開幕、大阪・ヤンマースタジアム長居)に向けては「一番重要なのは(代表が確定する)3位以内に入ること。速い選手もたくさんいるので順位を狙うのも簡単じゃないが、しっかり自信をもって臨みたい」と決意を述べた。

ハイレベルな戦いを制し、自身3度目の五輪切符を勝ち取る覚悟はできているようだ。

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