【MLB】米国でついに“全国区”の選手になった大谷翔平 番記者が明かす取材状況の激変ぶり

エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

エ軍のホーム試合で、グラウンドレベルの取材が2年ぶりに可能に

メジャーリーグが“日常”を取り戻しつつある。コロナ禍で60試合に短縮にされた昨季からメディアによる取材もオンラインに限定されていたが、大谷翔平投手が所属するエンゼルスは7日(日本時間8日)のロイヤルズ戦から条件付きで“一部開放”。試合前にグラウンドレベルで練習を見ることが可能になった。Full-Count編集部でエンゼルスをカバーする盆子原浩二氏が2年ぶりにメジャーのグラウンドに降りて練習取材した心境や、大谷に対する米メディアの関心度が今季急激に高まったことなどをを語った。

2年ぶりのフィールドは凄く久々という感じ。選手やコーチ、スタッフの声が身近に聞こえて来るのはいいものです。そしてなんと言っても打球音ですね! とても心地よく感動しました。今までは当たり前と思っていた光景がとても新鮮で、日常に一歩前進したことを強く感じました。

6日(同7日)にエンゼルス球団から試合前にグラウンドに入ってもOKとの連絡を受けました。ワクチン接種を終えていることが条件で、私を含めて約15人のメディアがバックネット前で練習取材。これまではオンライン取材だけでしたから、一気に選手との距離が縮まった感じがしました。選手を呼び止めてインタビューすることも可能ということなので今後が楽しみです。

カリフォルニア州では今月15日に規制が解かれ、経済活動が全面再開されます。エンゼルスの場合は17日(同18日)のタイガース戦から観客の入場制限がなくなり、スタンドがファンで埋まった中での試合が戻ってきます。クラブハウスがメディアに開放され、自由に取材できる日が来るのもそう遠い日ではないと思います。大谷君は別格として、一番直接話を聞きたいのはやはりトラウト。エンゼルスだけではなくメジャーを引っ張っていく選手ですから。

マドン監督の会見では、米記者から大谷に関する質問が飛び交う(画像はスクリーンショット)

昨年までとは一変、大谷に関する監督への質問が殺到する状況に

取材といえば今季、米メディアが大谷君に寄せる関心度が一気に高まった気がします。『いつ投げるのか?』『明日は打者として試合に出場するのか?』等々……昨年までは日本メディアが質問していたことを、地元紙の番記者らが事細かくマドン監督に聞くようになりました。

2018年にエンゼルスに移籍した当時、大谷君の二刀流に対して米メディアは懐疑的でした。かつてのベーブ・ルースのようなことを近代野球で「できるわけがないだろう」という目で見ていたようです。

同年は4勝&22本塁打の活躍でしたが米メディアの関心は決して高くなく、会見で監督に大谷君に関する質問をする記者は稀でした。ですから会見の最後に日本メディアが大谷君の出場スケジュールを聞くというのが通例で、それは昨年まで変わることがなかったのです。怪我が多かったのも一因だったでしょう。「二刀流はやはり無理じゃないか」という考えの記者の方が多かったと思います。

ところが今年は一変しました。キャンプの時からガンガン打って投げて「これは凄いぞ」となってシーズンでも打ちまくって。しかも走る。先発としてチームで最も存在感を放つ選手が、本塁打も盗塁もチームトップですから。今年のマドン監督のオンライン会見はもう“大谷狂騒曲”です。主に4人の米記者が次から次へと彼について質問をする状況です。

大谷翔平を“本物”だと認めた証拠でしょうか。米国内で“全国区”の選手になったと実感します。8日(同9日)のロイヤルズ戦で470フィート(約143.3メートル)の超特大本塁打放った瞬間、記者席は騒然となりました。全てのメディアが彼の一挙手一投足を追っている状況です。日本メディアとして本当に誇らしいですね。

〇盆子原浩二(ぼんこばら・こうじ)1953年3月12日生まれ、島根県江津市出身。現在は米・ロサンゼルス在住。1981年に渡米。地元ラジオを中心にドジャースの野茂英雄らをはじめ、取材活動を行う。今年7月で渡米40年を迎える。(Full-Count編集部)

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