国内外に水晶デバイス製品を供給、九州電通(株)[長崎]と関連会社が民事再生法を申請

 九州電通(株)(TSR企業コード:920064574、法人番号:2310001008728、大村市福重町340、設立1973(昭和48)年6月、資本金7040万円、角谷省一社長)と関連で不動産管理会社のハイテック(株)(TSR企業コード:920127762、法人番号: 4310001008882、同所、設立1983(昭和58)年2月、資本金1000万円、同社長)は6月9日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し同日、保全命令を受けた。
 申請代理人は三澤智弁護士(阿部・井窪・片山法律事務所、東京都中央区八重洲2-8-7、電話03-3273-2600)。
 負債総額は九州電通が債権者約110名に対し約34億円、ハイテックが約5600万円、2社の負債合計約34億5600万円。

 九州電通は設立以来、水晶デバイスの開発製造を手掛けていたが、水晶部品市場の競争激化などの外的環境の変化、90年代以降の海外生産拠点への投資、ウエハー事業などの新規事業の失敗などで財務面が悪化していた。そのため、2018年より長崎県中小企業再生支援協議会の関与の下、金融機関からも元利金返済猶予を得ながら再建を目指すため、スポンサーを探していた。
 風評リスクを考慮し取引先や事業再生ファンドを中心に打診・交渉を継続していたが、米中貿易摩擦の影響による経営環境の悪化もありスポンサー探しは難航。こうしたなか、2021年3月、債権者のリサ企業再生債権回収(株)(TSR企業コード:260396303、法人番号:9010401062902、東京都港区)および(株)半蔵門キャピタルインベストメンツ(TSR企業コード:016948297、法人番号: 9010001173100、東京都港区)から長崎地裁に破産手続を申し立てられたが、スポンサー候補のめどがたち、スポンサー支援を前提とした再生計画を立案する準備が整ったため、今回の申請に至った。

 会社側では「リサ企業再生債権回収および半蔵門キャピタルインベストメンツから長崎地裁に破産を申し立てられているが、スポンサーからの支援を前提とした再生計画案を策定する予定であり、破産となるよりも両社および債権者にとっては有利な内容になることから両社には理解いただけるものと考えている」としている。
 債権者説明会を2021年6月15日13時30分より、「オフィス東京」(東京都中央区京橋1-6-8コルマ京橋ビル)で開催予定。

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