発売当初は傲慢だと誤解されていたクイーンの名曲「We Are The Champions」

Photo: Queen Productions Ltd

バンドの結成50周年を記念して毎週1本ずつ全50本の動画が公開されているクイーンのビデオシリーズ「Queen The Greatest」の第13弾のエピソードが公開された。今回では、先週に公開された「We Will Rock You」に続く名曲、「We Are The Champions(伝説のチャンピオン)」の制作秘話が紹介されている。

<動画:Queen: 1977年 We Are The Champions - 傲慢だと誤解された歌 (エピソード 13)>

1977年にフレディ・マーキュリーが作曲したこの曲は、史上最高のロック・アンセムのひとつとして広く認められており、グラミー賞の殿堂入りを果たしている。2011年にはロンドンのゴールドスミス大学の科学研究チームによって、”史上最もキャッチーな曲 “と認定されている。

しかし、「We Are The Champions」は、ポップス史の中で最も有名な曲のひとつとなったにもかかわらず、メディアがバンド、特にフレディに対して、「自分達がチャンピオンだ」というような“傲慢な”タイトルの曲を考えたのは“謙虚さ”が欠けていると批判し、幸先の良いスタートを切ることができなかった。今回公開された映像の中でインタビュアーはこう話している。

「”We Are The Champions”なんていうタイトルを思いつくのはクイーンだけですよね。謙虚さはどこへいってしまったのですか?」

そういった批判に対して当時のロジャー・テイラーとフレディは、独特のスタイルでこう切り返している。

ロジャー・テイラー「そうだなね、何もないよ。謙虚さなんて全くない。イギリスの音楽メディアに散々叩かれた後で、誰が気にするんだ? 失うものは何もないんだから」

フレディ・マーキュリー「違うね、何もかも。商業的だとか好きなように呼べばいい。これまでの曲で一番利己で傲慢な歌だからね」

対してブライアン・メイはこう説明する。

「僕らは少しショックを受けてたんです、”傲慢だ”って思われることに。でも”We Are The Champions”は僕や仲間たちだけじゃなく、全ての人のことを意味してるということにすぐに気がつきます。でも、フレディからくるいい意味での傲慢もあると思う。それに正直言って、最初の頃に意味してたのはおそらく僕ら自身だったんだろう。なぜなら僕らは確かにあらゆる地獄を見せられて、それでも勝利を収めたんだから」

フレディ・マーキュリー「あの曲は基本的に観客に参加してもらう曲、僕はとても冷静だから、この曲をどうやってステージで適応させるか、大衆がどうやって一丸となるのかという観点で考えただけなんだ」

「We Are The Champions」は1977年以降のクイーンのライヴでの完璧なフィナーレであり、バンドとファンが団結できる瞬間であり続けた。1980年代に入ってクイーンのライヴ会場がスタジアムへと移行していく中、「We Are The Champions」はライヴ会場に完璧にフィットし、スポーツイベントでも数多く起用され、世界中の会場で合唱され続けてきたことで、この曲が伝説的な地位を確立したことは理解できるだろう。

そして団結と一体感の象徴であるこの曲は、2020年にフレディも想像しなかったような形で再び共鳴した。新型コロナウイルスの世界的な大流行の最中、クイーン+アダム・ランバートとして新バージョン「You Are The Champions」で、エッセンシャルワーカーたちへの敬意を表したのだ。

Written By Tim Peacock

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