【函館スプリントS】去勢の“ダブル効果”発揮 ビアンフェ逃走V 

後続の追い上げを退け重賞3勝目を挙げたビアンフェ

北海道シリーズの開幕を告げるサマースプリントシリーズ第1戦(9・12セントウルSまで全6戦)、GⅢ函館スプリントS(13日=札幌芝1200メートル)は、藤岡佑騎乗の5番人気ビアンフェ(セン4・中竹)がハナに立ってそのまま押し切り重賞3勝目。去勢による“ダブル効果”がもたらしたV劇だった。

フライング気味?の高速スタートを切ったカレンモエに一旦は出られたものの、二の脚を利かせてハナを奪ったビアンフェ。一見、マイペースで運んでいるように見えて前半3ハロンは32秒8という速い流れ。これこそがこの馬のリズムであり、気分良く運んだことで直線では鞍上のゴーサインにもしっかりと反応。外から迫ってきた2着カレンモエ、3着ミッキーブリランテの追撃を実にしぶとい粘りで振り切った。

デビューから11戦すべてでコンビを組んできた藤岡佑は「3か月ぶりだったけど、今までで一番落ち着いていて、いい雰囲気だと思いました。2歳の時からいいスピードを持っていましたけど、なかなか気持ちと体がかみ合わなかった。それを牧場とスタッフがうまく仕上げてくれました」と心身の合致を高く評価。

「もともと1歩目はそれほどでもないけど、そこから二の脚の速さで理想的な逃げが打てました。直線で外から来ていましたけど、全馬が苦しくなるところで最後の粘りが利くのがこの馬の良さ。何とか粘ってくれと思っていました」とパートナーの特徴を最大限に生かした騎乗で3つ目のタイトルをもぎ取った。

この中間、自ら札幌入りしてビアンフェの調教にまたがっていたのは中竹調教師。「今日はゲート裏まで引っ張っていき、リラックスできるよう会話して臨んだ。何よりゲートの中でリラックスできていたのが一番の勝因だね」とメンタル面の向上を喜んだ。

前走のオーシャンS(3着)は去勢明けでマイナス12キロだったが、この日はそれをそっくり取り戻したプラス12キロの体での出走。「去勢は精神面の改善のためにするのもそうだけど、硬くなり過ぎた筋肉を一回落として、そこから新たに筋肉をつけるという意味もある。その効果もあって今日はいい体でした」と、去勢でのダブル効果を強調した。

「ゲートに付き合ったり、この馬にはほんと付きっきり。まあ、調教師としてリラックスしてゲートに入れる責任があるからね」と大役を果たし、ホッとした表情を見せたトレーナー。この後は一旦栗東に戻した後に放牧に出す予定。次走はサマースプリントシリーズ最終戦のGⅡセントウルSが視野に入っている。

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