連立政権や憲法改正をどう捉えてる?公明党・斉藤鉄夫氏の本音に迫る!

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今回は2020年7月25日に公開された対談の様子をご紹介。ゲストは公明党・斉藤鉄夫幹事長(当時)です。党の説明や自公連立に至る経緯、憲法改正に対する考え等について伺いました。

 

改めて幹事長へ伺う、公明党ってどういう党?

斉藤幹事長による党の説明から、今回の対談は始まりました。

「公明党は創価学会という宗教団体が支援母体にあります。みんなが幸せになって自分も幸せになる、というのが宗教的理念。その理念をもとに現実の社会へ実現していく。そして、社会のなかで苦しんでいる多くの方の声を聞き、社会全体と自分の幸福が一致するような社会をつくっていく。そういう政党です」

公明党の発足当時、保守政党の自民党と、社会党・共産党が対立する構図がありました。そしてそれは、社会で力を持つ資本家を中心とした政党と、それに対抗する労働者・労働組合を中心とした政党の対立でもあったと、斉藤幹事長は話します。そのなかで大きく忘れ去られていた庶民の声を代弁し、その人達の幸せと社会全体の幸せを一致させるべく作られたのが公明党なのだと述べました。

公明党は「福祉」のイメージが強いと話す乙武氏。しかし、結党当時、他の既成政党からは「福祉なんて政治のやることじゃない」と言われていたそうです。まさに、資本主義か社会主義かという、イデオロギーが対立する時代のなかで、福祉はあまり政治の表舞台に立っていなかったと斉藤幹事長は話します。そんななか「福祉、社会保障を政治の主流にしていくんだ」と声を上げたのが公明党で、福祉、社会保障の充実は公明党の原点なのだと述べました。

自公連立に至った経緯

「自民党とくっついていると、弱者ではなく強者との寄り添いなのではないか?という批判もあると思う」と話す乙武氏に対し、「軸は全くぶれていない」と斉藤幹事長。自民党にも社会を豊かにしていくために福祉が大事だと思っている議員は沢山いると述べます。そういう議員と一緒になり、福祉についても自民党と一緒になって大きくしてきたのだと説明しました。

20年を超えた連立政権。くっつくイメージの薄かった2つの政党は、どのようにして連立に至ったのでしょうか。

当時、若手議員だった斉藤幹事長は、自公連立に批判的な立場の1人だったそうです。その頃、自民党は参議院において単独過半数を持っていない状況で、参議院で法律を通すには野党の協力が必要でした。また、金融危機があり、東西冷戦が終わって世界の激動が続いていた時代。そんな時代において、日本にはしっかりとした政権が必要で、公明党がそのなかに入ったとするならば、公明党のそれまでの主張も十分実現できると判断。最後は、批判的な若手議員が野中広務氏と直接会い、公明党の理念、政策をしっかり実現していくと約束されたそうです。そのような流れを経て、最終的には連立政権へ踏み切る運びとなりました。

 

憲法改正に対し、公明党は「加憲」の立場

自民党に対してここは合わないと感じることはあるかという質問に対しては、「憲法9条の専守防衛のところだと思います」と斉藤幹事長。平和安全法制を議論した際も、集団的自衛権をフルスペックで認めるという当時の安倍首相に対し、それは認められないと反論。これまでの専守防衛という憲法9条の考え方のなかに入る、一部集団的自衛権を認めたというものであり、憲法9条の解釈を変えたわけではないと、公明党の立場を明らかにしました。

憲法9条そのものの改憲に対する公明党の考えについては、「第1項・第2項は変えてはならないと思っている」と話します。

自衛隊は専守防衛の合憲組織であるという明文を何らかの形で条文に加えたいとする安倍首相の問題提起については、「大いに議論していくべきであろうと」前向きな意見を述べました。

最後に、憲法全体に対する考えについて、社会の価値観も変わってきているなかで、新しい価値観、新しい人権として憲法に書き加えていく、そのような議論をしてもいいのではないかと話します。公明党の掲げる加憲的な憲法論議を進めていくことが、国民全体を包み込んだ建設的な話し合いに繋がるのではないかと考えを明かしました。

 

斉藤鉄夫氏プロフィール

1952年島根県生まれ。清水建設勤務を経て1993年7月、旧広島1区より衆議院議員に初当選。2017年に実施された第48回衆議院議員選挙では比例中国ブロックより当選。工学博士、東京工業大学大学院理工学研究科応用物理学専攻修士課程修了。現在は公明党の副代表、総合選挙対策本部長、憲法調査会顧問、税制調査会顧問、広島県本部顧問を務める。

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