千々石ミゲルの半生描く 漫画『光の彼方へ』出版 長崎の奈華よしこさん

「光の彼方へ」の表紙

 長崎市の漫画家、奈華よしこさんが、16世紀にローマを訪問した天正遣欧少年使節の一人、千々石ミゲルの波乱に満ちた半生を描いた漫画「光の彼方(かなた)へ」(タイピント印刷)を出版した。
 キリスト教の禁教から信仰の解禁までの史実に沿いつつ、創作を交え男女の情愛などさまざまなエピソードを盛り込み、ミゲルら登場人物を感情豊かに生き生きと描いている。
 本作では、安土桃山時代、九州のキリシタン大名の名代としてヨーロッパを訪れた同使節4人が、8年ぶりに長崎に帰ってくるシーンから始まる。豊臣秀吉による「バテレン追放令」で表立った布教ができなくなっていた中、4人は「イエズス会」に入会。その後、ミゲルは脱会、棄教し大村藩に仕官するが、過酷な人生を歩み…。
 奈華さんは、プロ漫画家として約35年活躍。これまでにドイツ人医師シーボルトの娘・楠本イネを題材にした漫画などを出版している。本作については「禁教による弾圧で多くの信徒が亡くなった。作品を通じ信仰の自由がある平和の大切さを感じてもらえたら」と話している。
 A5判、330ページ。2200円。500部発行。メトロ書店本店(同市尾上町)などで販売中。問い合わせは同印刷(電095.825.4777)。

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