「営業電話で業務に支障」 神奈川県が明治期から続く職員録廃止へ

廃止される方針が決まった神奈川県の職員録。左は1928(昭和3年)のもの

 神奈川県が明治期から発行を続けてきた「職員録」を2021年度発行分から廃止することが16日、県への取材で分かった。職員録を使った職員への営業電話が後を絶たず、業務に支障が生じていることなどから廃止に踏み切る考えだ。

 職員録は毎年6月ごろに発行され、県職員や教職員ら総勢約2万人を収録。以前は職員の住所も記載していたが、現在は部署ごとに肩書と氏名、職場の電話番号を記している。約2400部が発行され、庁内売店や一部書店でも販売されている。

 県によると、職場に資産運用などの電話勧誘が職員個人名を挙げる形で頻繁にかかってきており、職員録を使っているとみられるという。県担当者は「執拗(しつよう)な勧誘も多く、業務に支障が生じている。ペーパーレス化の社会情勢も踏まえた」と話している。

 庁外向けの情報公開として、県庁内の県政情報センターで閲覧用の職員録を配架する方向で検討している。県では現在、最も古い職員録として1928(昭和3)年版を保管しているが、国会図書館のデジタルコレクションでは明治20年代のものも収蔵されている。

 職員録を巡っては、横浜市もペーパーレス化やコスト削減などを理由に20年度から冊子の制作・販売を終了した。

© 株式会社神奈川新聞社