巨人〝神頼み〟効果なくスモーク電撃帰国…原監督「おはらい? したばっかりだ」とポツリ

巨人・原監督は再度のおはらいを否定した

〝呪縛〟を解くことはできるのか…。巨人のジャスティン・スモーク内野手(34)が米国在住の家族と過ごすため、リーグ戦再開を目前にした17日に電撃帰国した。契約解除となり、シーズン途中でまさかの退団となる。それにしても今季の巨人は続出する故障者もさることながら、際立つのはその間の悪さ。ここまでくると神頼みしたくもなってくるが、原辰徳監督(62)の考えは――。

これほど誤算が重なるシーズンも珍しい。主に5番で起用され、34試合で打率2割7分2厘、7本塁打、14打点をマークしたスモークが15日に急きょ契約解除を申し出て球団側も受諾した。本人に説明を求めた大塚球団副代表によると、新型コロナ禍の影響で家族と過ごすことができず、今後も日本で同居生活が見込めないことが最大の要因。「家族愛は人一倍強かったのかな」とし「(家族なしで)残り4か月を過ごせない。周りの選手が一生懸命優勝を目指してやっているのに(中途半端な気持ちで)自分が入ることは申し訳ない」と詫びたという。

愛妻と3歳と6歳の愛娘を母国に残し、単身で異国の地を訪れてプレーを続けるのは酷だったのかもしれないが、チームに与えるダメージは計り知れない。18日からは7ゲーム差で追う首位・阪神と敵地・甲子園で3連戦。前半戦の大きな山場に向け、事前に二軍再調整を終えた丸の昇格も決まっていた。少しでも戦力を整える必要がある中での電撃退団。ついに球界関係者からは「今年の巨人はとにかくタイミングが悪い。『よーし、これから!』という時に必ずと言っていいほどブレーキがかかる。いっそのことおはらいをした方がいいんじゃないか?」との声まで上がった。

確かに、ここまでの戦いを振り返ると、とことんツキに見放されている感は否めない。その始まりは、スモークとともに新加入したテームズの離脱だろう。4月27日のデビュー戦でいきなり右アキレス腱を断裂し、戦闘不能に陥った。また、コーチ陣を配置転換するほど息巻いた交流戦開幕の直前で、FA加入したリードオフマンの梶谷が左太もも裏を痛めて戦列を離れた。交流戦終盤には右手親指の骨折から坂本の1か月ぶり復帰が目前に迫った10日には、3番で奮闘していた吉川が死球を受けて左手を骨折。ようやくピースが揃いかけると、想定外のアクシデントに見舞われてショックが倍増する悪循環の連続だ。

こうなってくると「おはらい」などの〝見えない力〟に救いを求めるのも無理からぬ話だろう。球界ではケガ人が続出した際などに行われるケースも珍しくない。しかし、吉川離脱後の原監督は「おはらい? おはらいしたばっかりだ」とポツリ。すでに打てる手は打っていたわけだ。しかも「良い物も飛んでいっちゃうよ」と、再度のおはらいには消極的な姿勢を打ち出していた。

リーグV3の前に立ちはだかる呪いにも似た困難の連続。スモークの帰国に原監督は「本人は相当な決断だったと思いますよ。こっちはそれを受け止めていくしかないですね」と冷静に語った。卓越した手腕で数々の修羅場を乗り越えてきた指揮官は、どんな〝妖術〟で立ち向かうのか。

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