三つ子の和牛すくすく 利用者ら和ませ 雲仙・南高愛隣会の牛舎

人工乳を勢いよく飲む子牛たち=雲仙市瑞穂町

 長崎県雲仙市瑞穂町にある社会福祉法人南高愛隣会の福祉事業所の牛舎で5月に生まれた黒毛和牛の三つ子が、すくすくと育ち、利用者や職員たちを和ませている。
 全国和牛登録協会県支部によると、和牛の三つ子誕生の統計はないが、非常に珍しいという。同事業所の飼育担当職員、柴崎基範さん(62)は「牛を育てて40年になるが、三つ子は初めて。3頭とも元気なのはさらに珍しい」と驚く。
 同事業所では、障害者の就農を通じて社会参画を促す「農福連携」の一環で、和牛繁殖に取り組んでいる。三つ子は5月3日に生まれ、1頭が雄で2頭が雌。体重は平均(30キロ前後)より軽い約15~25キロだった。母牛も体力を消耗し母乳の栄養分が少なく、3頭とも脱水症状になったため、人工乳で育てられている。
 今では子牛たちは体重約30~45キロに育ち、牛舎担当の利用者が差し出す哺乳瓶にしゃぶりついて離さない。手の空いた利用者や職員も牛舎に遊びに来るようになった。柴崎さんは「丑(うし)年に明るい話題。子牛たちの生命力にみんな元気をもらっている」と喜んでいる。

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