【なでしこジャパン】鮫島落選…ブレない高倉監督 五輪メンバーは再び “実績度外視” 選考

苦しい決断を下したなでしこジャパン・高倉監督(©JFA)

再び〝ギャンブル選考〟に打って出た――。なでしこジャパンの高倉麻子監督(53)が、経験値を捨てて東京五輪のメンバー18人を選んだ。

2016年リオ五輪の出場権を逃したため、わずか18人で最大6試合を過密日程で戦う五輪の出場経験者は、11年ドイツW杯優勝メンバーでもあるDF熊谷紗希(30=バイエルン・ミュンヘン)とFW岩渕真奈(28=アーセナル)だけ。それぞれ主将、10番を背負う頼もしい存在だが、高倉ジャパン発足時からチームを支えた経験豊富なベテラン、DF鮫島彩(34=大宮)は落選となった。

高倉監督は「この決断は簡単ではなかったが、その一方で若い選手の成長や勢いを感じている」と説明。圧倒的な五輪経験不足は心細いが「若い世代の選手たちは、多くがU―17W杯、U―20W杯で世界一になった経験を持っている。フル代表は次元が違うし、世界でA代表で戦ってきた選手は少ないけど、みんなでそういった経験のマイナスは補えると考えている」と一蹴した。

指揮官は初めて世界大会へ挑戦した19年フランス女子W杯のメンバー選考でも〝勝負〟に出ていた。それまでの代表実績を度外視して、今回も選ばれた当時18歳のMF遠藤純(21=日テレ)らを抜てき。趣旨は異なるものの、負傷から復調途上で試合に出られるか微妙だったMF阪口夢穂(33=大宮)をピッチ上の大黒柱として呼んだ。しかし結果的に阪口は未出場に終わるなど、大会は16強で敗退した。

それでも大舞台への選考コンセプトは一切ブレなかった。高倉監督は「11、12(ロンドン五輪銀メダル)、15年(カナダ女子W杯準優勝)に世界で結果を残してきたチームに追いつき、追い越せるように一つになって戦っていきたい」ときっぱり。かつての〝最強チーム〟へライバル心をにじませ、信念を貫く構えだ。

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