アラフォー独身女性が知っておきたい、今後に備えるべきお金のこと

最近は、結婚するつもりはあるけれど仕事が忙しすぎて相手を探す暇がない、最初からシングル主義を貫いている、結婚より仕事をバリバリ頑張りたい、結婚しないつもりはなかったのに、気がつけばシングルなどさまざまな理由でシングル女性が増えています。

アラフォーともなると、それなりの役職を任されて給料も高めな人も、趣味を謳歌している人も、さまざまですが、お金の面から見ると、結婚費用や教育費がかからない分、家計にゆとりがあり、また、自分の裁量で自由にお金を使うことができるため、人生を楽しんでいるシングル女性は多いように思います。

ただし、シングルの場合、「病気・ケガ」になってしまった時、「収入が減少してしまった時」など想定外のことが起こったときに、自分ひとりで対処しなくてはならないため、こうした想定外のリスクにきちんと備えておくことが大切です。

また、生涯シングルとなると、家を購入するのか、賃貸にするのか、老後の資金準備や自分が介護の状況になった場合に必要な費用などについても考えておく必要があります。さらに、自分が亡くなった後の相続や葬儀のことまでも考えておく必要があります。


病気・ケガ、収入減少など想定外に備える

もし、病気やケガで働けなくなり収入が減少しても、その間の生活費や医療費は待ったなしでかかります。ただし、日本は、公的保険が手厚いので、病気やケガをした場合の治療費の自己負担は3割負担ですみます。また、治療費が高額になっても高額療養費制度があるため、自己負担は約10万円程度ですむでしょう。加えて会社員の場合は、病気などで会社を休んでも健康保険から「傷病手当金」が支給されます。傷病手当金は、お給料の3分の2が1年6カ月にわたって支給されます。ですから、生活費の半年~1年分貯蓄があるという場合には、民間の保険で備えなくても大丈夫です。

ただし、がんのような大病を患うと、貯蓄だけでは心許ないでしょう。最近のがん治療は、入院・手術といった治療だけでなく、通院による治療や自己負担で受けられる治療などもあり、多様化しています。これらの費用は、公的保険だけでは賄えないケースが少なくありません。また、重粒子線治療や陽子線治療などの先進医療の治療費は健康保険適用外なので、全額自己負担になります。これらの費用に備えるために「がん保険」への加入は検討しても良いでしょう。

がん保険の大きなメリットは、がんと診断された場合に診断一時金を受け取れることです。診断一時金は、用途が限定されていないことが多いため、生活費に充てることもできます。

個人的には、多くの保険会社で提供している、医療保険やがん保険の付帯サービスは活用度が高いと思います。

付帯サービスの内容は、医師や看護師の専門スタッフに電話で365日24時間、健康、医療、医療機関情報などについて相談できるサービスやがんと診断された場合の心のケアなどのサービス、セカンドオピニオンサービスや紹介状を発行してくれるなどのサービスです。

ひとりで病気になったら心細いもの。そんな時にこうしたサービスを利用できれば心強いでしょう。

家を購入する?賃貸でいく?

シングルの住まいを考えた場合、実家暮らし、マンション購入、賃貸(一人暮らし、友人とシェアなど)など、さまざまな選択肢があります。

とはいえ、将来を考えると、家を購入するのが良いのか、賃貸の方が良いのか悩む人は多いのではないでしょうか。

家の購入と賃貸については、昔からよく議論されるところですが、実際のところ、(1)これから先、何年生きるかがわからない(2)将来の住宅価格がどう動くかがわからない(3)マイホームに対しての価値観が人によって異なるのでどちらがお得なのかは、一概にはいえません。大切なのは、それぞれのメリット・デメリットを把握した上で、自分のライフプランに合わせて選択することです。

例えば、賃貸の場合は、ライフスタイルに応じて住むエリアや間取りを臨機応変に変えることができるのがメリットですが、家賃を1人で支払うとなると、相対的にコンパクトな部屋に住まなくてはならなかったり、家賃をずっと支払い続けたりすることになります。また、家賃を数人で負担して広い家で暮らすシェアハウスも魅力ですが、生活を共にしても良いと思える友人を作るための努力が必要です。

一方、持ち家の場合は、自分の資産になったり、ローンを払い終われば住居費がかからなかったりするところがメリット。ただし、マイホームを購入する時には、住み心地など自分の満足度を追求することももちろん大切ですが、物件の資産価値をチェックすることが重要です。終の棲家にするつもりでも、突然のリストラや海外へ移住、老人ホームへの入居など、ライフスタイルの変化で手放す可能性がないとは言えません。家を購入する時には、いざ、住み替えるといった時に、「売れるか」「貸せるか」といった出口を考えて買うことが大切です。

長生きに備えて、老後・介護費用は念入りに準備!

ひとりで生きるとなると、最も心配になるのは「老後」や「介護」のことでしょう。

一昨年前に金融庁のワーキンググループが出した報告書「老後2000万円問題」が話題になりましたね。総務省の家計調査報告(2019年)によると、現在の高齢無職世帯が受給している年金額はシングル世帯で約15万2,000円(ずっと正社員で働いていた場合)。この収入に対して、支出はどうなっているかというと、シングル世帯で毎月約2万7,000円の赤字がでているという結果に。日本人の女性は世界の中でも長生きで、平均寿命は87.32歳となっています。ただし、女性は、ますます長生きの傾向にあるので、95歳までは生きると考えて資金を見積もっておくと安心でしょう。

今後は働き方も大きく変わってくると思いますが、仮に65歳で定年退職を迎え、95歳まで生きると仮定すると、

公的年金だけでは足りない金額2万7,000円×12ヶ月×30年間=972万円

ただし、上記のデータは、衣食住の基本生活費、かつ持ち家を前提としたデータです。ですから、賃貸暮らしだったり、おばあちゃんになってもエステに行ったり、友達とおいしい物を食べたり、旅行に行ったりしたいとなると、もっとお金が必要です。

また、高齢になると、介護が必要になる可能性が高まってきます。今や85歳以上の高齢者の約6割が要支援、要介護状態。2人に1人以上は介護が必要です。

例えば、在宅で介護を受けるという場合、訪問介護やデイサービス、福祉用具などの介護保険サービスの利用にかかる費用と医療費やおむつ代などの介護サービス以外の費用があります。かかる費用は要介護度や介護期間により異なりますが、公益財団法人生命保険文化センター(2017年)のデータを参考に見てみましょう。

在宅の場合、住宅改修や介護用ベッドの購入にかかった一時的な費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)は、69万円、月々の費用(自己負担分)は、7万8,000円、介護期間は54.5ヶ月(4年7か月)となっています。単純に計算すると、494万1,000円。約500万円かかることになります。

また、シングルで重度の介護状態になってしまった場合には、自分では何もできないため、老人ホームに入るという選択をする必要がでてきます。一口に老人ホームといっても、地方公共団体や社会福祉法人が運営する「公的老人ホーム」と民間企業が運営する「民間老人ホーム」があり、どちらに入居するのかによって費用も全く違います。一般的には、公的老人ホームは費用が安いので人気がありなかなか入居できません。民間老人ホームに入るとなると、入居時の一時金の費用として500万円~1,000万円、月額の費用は毎月25万円~30万円程度かかります。

さらに、認知症になってしまった場合には、財産を誰に任せるか、自分の死んだ後の整理をどうするかなどの問題が発生します。今回は、詳細は省きますが、シングルの場合は特に、認知症になってしまった場合の対策についても考えておく必要があります。

投資や保険などを上手に活用し、今から対策を!

こうやって見てくると、人生の後半で老後費用、介護費用が重くのしかかってきますね。とはいえ、まだアラフォーですから老後を迎えるまでに20年以上あります。

対策としては、健康で長く働けるようにすることはもちろんですが、優先順位をあげて取り組んでほしいのが、税制優遇の恩恵を受けながら私たち一般の人が中長期的に安定的にお金を増やしていける可能性が高いiDeCoやつみたてNISAなどの制度を利用して、コツコツお金を増やしていくことです。

また、貯蓄だけでは心許ないリスクに関しては、民間保険を上手に活用し、備えることも大切です。上記でがん保険のお話しをしましたが、例えば、介護についても民間の介護保険で備える方法もあります。長寿化の今、介護状態の期間が長くなる傾向にありますが、介護付き老人ホームに入居し、想定外に長生きして、利用料が支払えなくなり、退去せざるをえなくなったという事例を聞くことが多くなっています。

また、少子高齢化の進展で介護サービスが縮小される傾向にあります。介護が長期化した場合、預貯金だけでは賄えない可能性が高いので、特に誰も頼ることができないシングルの場合には、民間の介護保険も検討してみると良いでしょう。民間の介護保険は、保険会社の約款に書かれている要介護状態になると、介護保険金がもらえる上に、公的介護保険とは異なり、使い道が自由な現金給付である点がメリットです。

今回は、アラフォーシングル女性が今後考えておきたいお金のことについてお話しました。予めどんなことを考えておけば良いのかがわかれば、対策は立てられます。ぜひ、参考にしてみてくださいね。


アラフォーシングル女性は、お金面から見ると、自由度が高く人生を謳歌している人が多いように思いますが、シングルで生きるとなると、病気やリストラなどの想定外のリスクが起きた時や老後、介護、死後のことまで1人で対処する必要があります。特に人生の後半にやってくる老後、介護の費用は重くのしかかってくるので、今から少しずつでも対策を考えておきましょう。

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