上越市寺の吉村惠美子さん(70)はこのほど、事故により体が動かなくなった夫との日々をつづった書籍『やまぼうしの歌』(北越出版)を自費出版した。
埼玉県入間市出身の吉村さんは昭和49年、夫・洋一さんの郷里である旧吉川町へ移住。平成4年、洋一さんは自動車を運転中に事故で頸椎を損傷し、首から下が自発的に動かせなくなった。吉村さんは41歳、洋一さんは48歳だった。事故から数年後、吉村さんは在宅での介護を決断。洋一さんの「たとえ命が短くなっても家に帰りたい」との思いを受け、二人は新たな日常へ踏み出した。
平成16年、洋一さんは大腸がんのため60歳で死去。事故から30年近い歳月が流れ、「夫との介護の日々を書き残さなければ」と考えた吉村さん。同14年に本紙に週1回連載した『やまぼうしの花が咲いたよ』を加筆する形で同書を執筆した。
タイトルは洋一さんの部屋から見えたヤマボウシから命名。文中には事故後に二人が詠んだ俳句や短歌が挿入され、当時の思いをつづっている。巻末には看護師や理学療法士ら介護に関わった大勢が寄稿。吉村さんは「一生懸命生きていると、人は手を差し伸べてくれる。出会いが輪となって広がっていく」と思いを語る。
同書への問い合わせは吉村さん(電090・1883・2007)へ。