ビッグダディが時効トーク 子供にアロエを食べさせた極貧生活…引っ越し費用は「局持ち」

左からビッグダディこと林下氏、家田氏

あなたの話をお聞かせください――。作家で僧侶の家田荘子氏が気になる人物に迫る「駆け込み寺」対談編。話すことで自身を見つめ直し、人生の学びを見いだす。今回のゲストはビッグダディこと林下清志氏(56)。2006年から放送されたドキュメント番組「痛快!ビッグダディ」(テレビ朝日系)で大家族の密着取材を受け注目を集めた。バツ7で連れ子を含めて20人を育ててきたダディからは独自の教育論が飛び出した。

ダディ 7回結婚しているだけ。例えば4、5人目の彼女さんと結婚することっていっぱいあるわけじゃないですか。自分は毎回結婚してる。

家田 どんどん子供が増えて生活費が大変。

ダディ よくそう言いますけど5人で食ってたものを6人になったら6つに分けて食えばいいじゃないですか。

家田 1番目の奥さんが出て行った時は。

ダディ 動揺しましたけど俺の好きなように子供を育てられることにワクワクしましたね。

家田 番組を受けられたのはどうして。

ダディ 5年説得された。(※注:子供のために)「引っ越そうと思ってるんだ」って話したら「番組をやらせてくれるんだったら出しますよ」と言われて。もう何をしゃべってもいい時期だと思うけど、費用は全部出してもらって奄美に。

家田 奄美では食べるのが大変だったと。

ダディ それはずっと。時効だから言うけど、本当に食うものがなくて子供らに「日が落ちたら公園のアロエを取って食うぞ」って。バレないように見張りを立ててイベント性を高める。申し訳ないと言うと子供たちもつらい思いをする。おもしろおかしく暮らしてるのに周りから「かわいそう」と言われるのが迷惑でしたね。子育ては戦略。

家田 2人目の美奈子さんには5人お子さんが。

ダディ 自分の子供って簡単に懐いちゃう。俺はDNAが全く絡まない子供を育てることできる。そこで自分の本当の親としての資質がわかると思うとうれしかった。

家田 お子さんのルールで、働きだしたらちっちゃい子たちをヘルプする。

ダディ 自然とそうなった。次男坊は料理人になりたかったけど「高校の時にお小遣いがなかったのがつらかったから」と建設関係の仕事を選んで下の子たちに仕送りをしてくれた。ハタチになって「好きなことをやれ」って言って料理の世界に入った。詩美も高校卒業して1年間は飲食店で働きながら、連れ子の3つ子の学費を出してくれてプロレスへ行った。

家田 家族仲がいい。

ダディ 当たり前のこと。世の中おかしくなってる。家族だけを考えて生きていけばいい。家族の幸せだけを考える。大して能力もないのに地域のことを考えなくていい。そうすれば家族の集合体である地域、行政区、国がしっかりする。

家田 子育てを終えて。

ダディ もう存在価値がないと思ってます。死んでも全く悔いない。

家田 いろいろな経験をしている。

ダディ ホストやってみたり、AVも出た。子供と今も付き合ってる彼女にも許可を取ってやった。面白かったですねぇ。

家田 ご結婚は。

ダディ もう7年ぐらい付き合ってる。彼女さんが結婚したいと言えば即決でしょうけど。

家田 これからは。

ダディ それを考えないで生きてる。10年先のことを考え生きていけるやつは偉いなと思うけどナンセンスだとも思う。しっかりした大人っていくらでもいるじゃないですか。俺一人が不埒(ふらち)な生き方をしててもこの国になんの不利益もないですよ。そう思って俺は堂々と安心していい加減に生きてる。

☆いえだ・しょうこ 7月22日生れ。愛知県出身。日本大学芸術学部放送学科卒業。女優、OLなど10以上の職歴を経て作家に。大ヒット映画「極道の妻たち」の原作者として知られる。1991年「私を抱いてそしてキスして―エイズ患者と過ごした一年の壮絶記録」で大宅壮一ノンフィクション賞受賞。2007年高野山大学にて伝法灌頂を受け僧侶となり、住職の資格を持つ。ユーチューブ「家田荘子チャンネル」を配信中。

☆はやしした・きよし 1965年4月8日生まれ。岩手県出身。2006年から13年まで放送された大家族密着ドキュメンタリー番組「痛快!ビッグダディ」(テレビ朝日系)シリーズで人気に。最初の妻と3度の離婚、その後3人の女性とそれぞれ離婚。16年に一般女性と7度目の結婚をするも離婚してバツ7に。2人の妻との間にもうけた実の子供だけで10人。三女の詩美は女子プロレス「スターダム」で活躍中。

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