ソフトバンク・小久保ヘッド肝いり「4番・柳田」解除の舞台裏

7回に16号2ランを放った柳田。3番でチームを勝利に導いた

大きな動きだった。22日のロッテ戦(ZOZOマリン)に6―4で勝ち、8試合ぶりに勝利を収めたソフトバンク。引き分けを挟んで続いていた連敗を4で止めた。この日、首脳陣は5月9日から「4番」に固定してきた主砲・柳田悠岐外野手(32)を3番で起用。チーム内でも驚きの声が上がったように、大きな変化だった。

工藤公康監督(58)から野手全権を託された小久保裕紀ヘッドコーチ(49)は「柳田のチーム」と言ってはばからない。グラシアルの負傷離脱後、肝いりで4番に指名。かつて王会長が小久保ヘッドに「鷹の絶対的4番」を背負わせたように、背番号9の後継者でもある柳田に同じように〝看板〟を背負わせた。小久保ヘッドは選手時代、不振でどんなに打てなくても〝看板〟を下ろすことを許されなかった。ゆえに強い信念を持って、柳田に4番を託してきた。

試合後、工藤監督は柳田の「4番解除」の経緯をこう説明した。「ヘッドの方から『打撃コーチの提案があって』という報告があった。それから3番の意図、4番(に起用した栗原)の意図というのを聞いて決めた」。昨季の日本シリーズでMVPを獲得するなど勝負根性のある栗原を柳田の後ろに配す案を打撃コーチが強く進言。交流戦から続いた打撃低迷に立花打撃コーチは「私のせいですから」と責任を痛感し、平石打撃コーチも苦境を打破すべく腐心してきた。打撃コーチが導き出した最善のオーダーに、小久保ヘッドが柔軟に応える形で32試合続いた4番から柳田は外れた。

3回に貴重な犠飛、7回には16号2ランを放って勝利に導いた3番・柳田。動いて、勝った。「この勝ちは非常に大きい」。工藤監督の言葉には、いつも以上に感情がこもっていた。

© 株式会社東京スポーツ新聞社