不適切取引問題で金子前会長と和解 KTN、退職金差し引き

 テレビ長崎(KTN、長崎市)の金子源吉前会長(86)が在任中にグループ会社で複数の不適切な取引を主導したと疑われる問題を巡り、同社は23日の株主総会で、役員退職慰労金から相当額を差し引いて支給することで金子氏と和解する議案を提出、承認された。
 関係者によると、和解案は、同社が金子氏に対し相殺後の1億2500万円を支払う内容。弁護士らでつくる第三者委員会の最終調査報告では、業務関連性が認められない事務所の賃借など、不適切な可能性がある取引の総額は約9800万円としている。
 同社によると、5月の臨時株主総会で調査結果を説明。議案承認を受け、和解に向けた弁護士による交渉を開始した。同社は▽金子氏の長年の功績全てが否定されるものではない▽疑いの全てを立証するのは困難-と判断。社内の規定に基づき算出した役員退職慰労金から、双方の弁護士が総合的に勘案した額を差し引くことで合意したという。
 同社は「このような事態を繰り返さないためにガバナンス(企業統治)、コンプライアンス(法令順守)体制の強化に努めたい」としている。

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