プロ初黒星… メジャー目指すロッテ・佐々木朗に“足りないもの”とは?

改善すべき点は?

ロッテの佐々木朗希投手(19)が24日のソフトバンク戦(ZOZOマリン)に先発。今季2勝目を狙ったが、初回に鷹の主砲・柳田悠岐外野手(32)に一発を浴びるなど6回途中を投げ5安打3失点。自己最多の1試合6奪三振を奪いながらもプロ初黒星を喫した。だが、落ち込んでもいられない。本人の将来の目標は現在、二刀流で注目を浴びるエンゼルスの大谷翔平投手(26)のようにメジャーで活躍することだからだ。世界を席巻する同郷の先輩のようになるためには今後、何を改善していくべきなのか。

日本を代表する主砲に一発を浴びたものの、内容自体は悪くなかった。初回、二死無走者で柳田に初球153キロの直球を左中間スタンドに運ばれ先制点を許したものの、2回以降は本来の投球スタイルを取り戻した。最速154キロの直球と持ち球のスプリット、スライダーを駆使しながら相手打線を翻弄。気がつけば初回を除き5回まで一人の走者も許さない完璧な投球を披露した。

だが2―1と1点リードの6回。突如乱れた。先頭の今宮に左中間二塁打を許すと、続く三森にも右中間を破られ適時三塁打。その後、何とか一死を奪ったものの柳田に再び適時打を浴び逆転を許した。失意の背番号17は直後の栗原に四球を与えたところで降板。昨季日本一チームから白星を奪うことはできなかった。

佐々木朗は「援護をもらいながら6回途中で降板してしまったのは本当に申し訳ないです。6回を粘れなかったことがすべてだと思います。ソフトバンク打線はスイングが鋭かったです」。悔しさの残る投球となったようだが、井口監督は「まあ投球的にはね。柳田のところ、最後失投したぐらいで。投球内容としては非常によかった」と評価。今後はいったん登録を抹消し、次回登板に備えるという。

そんな佐々木朗だが、落ちこんでばかりもいられない。最終目標は米球界を席巻する大谷のようにメジャーで活躍すること。まだプロ2年目とはいえ、大谷がポスティングシステムを利用して海を渡ったのはプロ5年目のオフだった。同郷の大先輩が日本球界で1年目から3勝を挙げたことを考えれば「令和の怪物」も今から夢舞台で活躍できる投球術を習得しておかなければならないはず。そのためには今後何を重点的に改善していくべきなのか。

最も重要視すべきなのはやはり「少ない球数で長いイニングを投げる」ことだ。佐々木朗本人も「球数というよりはイニングを投げ切れなかったことが今日のすべてです」とコメントした。

周知の通りメジャーは先発投手に対し日本以上に球数制限が厳しい。たとえ余力があっても1試合の球数が100球前後になれば容赦なくマウンドから下ろされる。これは中4日で回る先発ローテーションを考慮してだが、球数が多ければ必然的に自身とチームの白星は遠のく。スタミナを温存する意味でも、奪三振だけでなく内野ゴロやフライでアウトを奪う省エネ投球術が必要となる。大谷も最近は三振にこだわらない投球術で好投を呼び込む試合が多い。佐々木朗も積極的に学ぶ必要がある。

そのうえで、メジャーに快く送り出してもらうためには「圧倒的な成績」も重要だ。

日本ハム時代の大谷は1年目からチームの中心選手として君臨。プロ3年目の2015年には早くもシーズン15勝、防御率2・24、勝率7割5分で最多勝利、最優秀防御率、最高勝率の投手三冠に輝き、翌16年にはチームを日本一に導いた。こうしたチーム、球団への多大な貢献がメジャー移籍を後押しした。佐々木朗も大谷までとは言わないまでも、今からある程度の成績を残さなければ周囲がメジャー移籍に納得しないはず。そのためにも今後は結果にこだわっていく必要がある。

着実に成長過程を踏んでいるとはいえ、佐々木朗の目指すところは高い。大器の片鱗を垣間見せつつある怪物だけに、大谷に続けるか。

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