デジタル化はなぜ進まない?乙武洋匡が、自民党・平将明氏に聞く!

選挙ドットコムでは、乙武洋匡氏をMCに迎え選挙や政治の情報をわかりやすくお伝えするYouTube番組「選挙ドットコムちゃんねる」を毎週更新中です。

今回は2021年5月22日に公開された対談の様子をご紹介。ゲストは自民党・平将明氏です。ネット投票やデジタル改革関連法案など、デジタル改革の現状と課題について伺いました。

 

国会のデジタル化が遅れている理由

平議員の強みといえばデジタル改革。前例主義で、与野党が合意しないと一歩も前へ進まない国会はデジタル改革がいちばん遅れていると指摘。例として、れいわ新選組の国会議員への対応を挙げます。

かなり障がいの重い方に対して議会は、物理的なバリアフリーを実現しようとしました。その際、平議員は「なぜデジタルを使わないの?」と疑問に感じたそう。わざわざ国会議事堂まで来なくても、投票や質問も遠隔でやればいいじゃないと。これには乙武氏も同意。「自宅で質問や採決ができれば、小さなお子様のいる議員や介護をしながら活動がしたいと思っている議員など、もっと多様な人材が国会議員になれる」と述べました。

ダイバーシティ&インクルージョンを作りましょうというこれからの時代においてITやイノベーションの力でその世界を作ることにより、色んなひとがチャレンジでき、多様な意見が国家の意思決定の場で反映されることになると平議員は話します。

ネット投票解禁に向けて

平議員は、自民党総裁選の党員投票や総理大臣を決める投票を電子にするなど、法律の縛りがないところから改革していくべきだと述べます。

紙・サイン・はんこが当たり前の党員募集も、平議員はオンライン上で出来る本人確認を導入したり、党費の支払いにも電子決済を導入したりと、デジタル完結で自民党員になれるようにしています。

「リアルな自民党」と「e-自民党」をつくってデジタルツインで回していくことをやりたいと話し、今の若い人は実物はリアルな世界にいるものの、スマホやiPadを見てサイバー空間の世界に入っている時間が長いのだから、自民党もサイバー空間にあったほうがいいと主張。

また、スマホ・iPadで公開討論会や解説を聞きながら気軽にネット投票ができるようにしたり、在外邦人の投票ができるようにもしたいと意気込みを語ります。そのためにはマイナンバーカードの普及が重要だと主張。申込者が5000万人を超えてきたため、いよいよそうしたことも実現できるフェーズに入ったと話しました。

コロナ禍でのデジタル改革

日本の遅れはテクノロジーの問題ではなく、規制と構造の問題だと指摘。地方分権でやってきた日本は、それぞれの自治体がバラバラのシステムになってしまっているため、ITの標準化が必要だと話します。ここについてはデジタル改革関連法案が成立したことにより、色んなことができるようになると述べました。

例として、住民税非課税の子育て世帯に対する給付を挙げます。所得制限なく給付される「児童手当のデータ」によって銀行口座が分かり、「税務のデータ」によって非課税世帯が分かる。そしてこれを掛け合わせることにより、申請なしでも一方的に非課税世帯へ通知が届くようにする。GoogleやAmazonの広告を例に挙げ、行政でもこのような1to1マーケティングのプッシュ型を実現したいと話しました。

個人情報保護とデジタル改革

デジタル改革関連法案への反対意見に対しては、個人情報の利活用と権利利益保護のバランスが重要だと話します。

これまで、個人情報保護委員会は、国や地方の行政機関についてはマイナンバーなどの情報だけが監督対象だったのが、今回の改正(デジタル改革関連法案)に伴って、すべての情報に変わりました。EU以外でGDPR(一般データ保護規則)レベルとして認められているのは日本だけしかないと主張し、日本は守られているのだと述べました。

 

平将明氏プロフィール

1967年東京都生まれ。早稲田大学卒業後、サラリーマン生活を経て家業である大田青果市場の仲卸会社に入社、社長就任。社団法人東京青年会議所に入会し、公開討論会を実施。2005年公募に合格し自民党公認候補となり衆議院議員選挙に立候補し当選。以降当選を重ね現在5期目を務める。内閣府副大臣等を歴任し、現在は衆議院内閣委員会理事、自民党経済成長戦略本部のプロジェクトチーム幹事等を務めている。

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