【詳報】「あかね」売却 スペインの企業に30億5000万円  上越市、今後補助金返還額通知へ

 佐渡汽船(本社・佐渡市)は25日、3月まで直江津―小木航路に就航していた高速カーフェリー「あかね」を、30億5000万円でスペインのフェリー運航会社、FRSイベリアに売却すると発表した。売却により、購入時に補助金として約8億1000万円を支出した佐渡市に約5億円を返還する。同じく約2億5000万円を支出した上越市は、近く同社に対し、返還を求める方針。

あかね

 「あかね」は佐渡汽船が上越、佐渡両市の補助を受け、約58億円かけてオーストラリアで建造。2015年4月、小木―直江津航路に就航した。しかし同社の経営はその後悪化し、21年3月時点で約16億円の債務超過に陥っている。昨年10月には「あかね」の売却を取締役会で決議、その後同社と県、補助金を支出した上越市、佐渡市のトップが会談し、売却に合意していた。

 同社によると、「あかね」の売却で30億5000万円の売却益が発生するが、抵当権解除のための期限前弁済で約25億円、補助金の返還で5億円以上、期限前弁済に伴い借入金の一部で解約手数料約6100万円も発生する。同社は今回の売却による影響は、9月末までに確定するとみている。

財務状況改善に期待寄せる 村山上越市長

 上越市の村山秀幸市長は「小木―直江津航路の活性化を期待して導入された『あかね』が6年で売却されることになったのは残念だが、佐渡汽船の財務状況が改善することを期待し、同社には経営改善を着実に進めてほしい」とコメントを出した。

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