巨人ウィーラーが「大魔王路線」を転換? 球団が狙う「バンザーイ計画」とは

巨人快進撃の立役者ウィーラー(中央)

伝説の「バンザーイ!」を超えられるか。巨人は25日のヤクルト戦(神宮)に7―1で勝ち、今季2度目の5連勝で2位に浮上。首位・阪神がDeNAに敗れたため4・5ゲーム差となった。快進撃の立役者の1人が打率3割3分でチーム首位打者のゼラス・ウィーラー内野手(34)。奮闘する助っ人のさらなる人気爆発へ、チーム内では〝改造計画〟が浮上している。

チームの勢いがそのまま出た。ヤクルト先発・石川を2回に大城の7号2ラン、3回に岡本和の20号3ランと本塁打攻勢でKO。投げては左腕・メルセデスが7回1失点と好投し、7―1で今季3勝目をマークした。

投打のかみ合った快勝に原監督は「(2発は)非常に効きましたね。(メルセデスは)ナイスピッチング」とうなずいた。5連勝での2位浮上には「いやあ、そのへんはまだ。それはよく分かりません」とさらに上を見据えていた。

最大8ゲーム差から再び虎の尻尾を視界にとらえた。その立役者の1人が「2番・一塁」のウィーラーだ。この日は3打数1安打、打率3割3分とDeNA・オースティンに2厘差でセ首位打者こそ譲ったものの、チームトップの高打率を誇る。

今季の巨人は右アキレス腱断裂でテームズ、家族が来日できずスモークが帰国と目玉助っ人2人が前半戦で離脱。背番号48は推定年俸が昨季の4分の1となる5000万円まで下がりながら、腐ることなく必死にプレーを続けてきた。開幕直後、新型コロナウイルス陽性で離脱しても調子を落とさず。右手親指骨折でキャプテン坂本が1か月離脱すると「2番」をキッチリと埋めた。

そんななか球団幹部は「日本球界7年目のウィーラーは普段の会話では日本語も十分に分かっている。誤解がないように通訳を使うのは当然だけど、ヒーローインタビューの最初と最後だけは何とか日本語でやってほしい」。人気獲得に向け〝改造計画〟を始動させた。

球団は昨季、「似ている」と評判の「ハクション大魔王」とのコラボでウィーラー売り出しを図ったものの、人気爆発とまではいかなかった。

巨人の歴代助っ人野手で人気ナンバーワンといえば、昨季まで球団アドバイザーを務めたウォーレン・クロマティ氏(67)。「バンザーイ」と叫びながらファンと万歳三唱をする姿は、今でもG党の語り草となっている。地上波で野球中継が高視聴率を叩き出していた時代とは状況が違うものの、球団はウィーラーに〝クロマティ超え〟を期待している。

昨季、ウィーラーはクロマティ氏から直接、打撃指導を受けた。仲間のホームランに大喜びするなどムードメーカーとしては申し分ないが、楽天時代にはお立ち台を仲間に譲るなどシャイな一面も持っている。

それでも「プロ野球選手にとって、お立ち台が最大のアピールポイント」(前出の幹部)。球団は阿部二軍監督の「サイコーです」に匹敵するような〝キラーワード〟を待ち望んでいる。

日本5年目のメルセデスが、この日のお立ち台の冒頭で「アリガトウゴザイマス」、締めで「オウエンオネガイシマス」。フロントによる助っ人の意識改革は着実に進んでいるようで、人気爆発はウィーラー独自の「名言」に加え、クロマティ氏の1989年の打率3割7分8厘に迫るような、圧倒的な成績を残せるかにかかっている。

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