台湾で日本支援のワクチン接種 かつて海軍工廠で働いた台湾少年工ら「感謝の極み」

台北市の会場で接種を受ける東俊賢さん(本人提供)

 日本から届いた新型コロナウイルスワクチンの接種が始まった台湾で、戦時中に神奈川県内の海軍工廠(こうしょう)で働いた台湾少年工の男性たちも接種を受けている。感染拡大を防ぐ「頼みの綱」の無償提供に大きな謝意を示すとともに、一層の支援を希望する声も上がっている。

 世界に先駆けてコロナを封じ込め、昨年は日本に200万枚のマスクなどを支援した台湾。今年5月以降に感染が拡大したが、ワクチンは台湾を「自国領土」と主張する中国政府の妨害で調達が困難な状況だ。

 日本政府は今月4日、英アストラゼネカ製ワクチン124万回分を無償提供。現地では「恵みの雨」などと国を挙げた感謝が広がり、高齢者らを対象にした接種が15日に始まった。

 台湾少年工は戦争中、座間、大和市にあった高座海軍工廠を中心に、全国各地の航空機工場で働いた。横須賀の研究所で特攻機「桜花」やロケット戦闘機「秋水」の試作に携わった東俊賢さん(91)=台北市=も15日に1回目を接種した。体調は良好といい、「感謝の極みです。台湾人がどれだけ感謝しているか、伝えてほしい」と話した。

 台湾の総領事館に当たる台北駐日経済文化代表処横浜分処の張淑玲処長は「国産ワクチンが完成間近だが、まだ不足している状況には変わりがない。引き続きの支援をお願いしたい」と呼び掛けている。

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