オリックス好調なのに! 笑福亭松喬がボヤキ節「今の球団には伝統がない…」

オリックスのユニホーム姿でポーズを取る笑福亭松喬

例年にない?粘りで大健闘を見せるオリックスを、落語の高座から手に汗握って見守る噺(はなし)家がいる。上方落語界のオリ党で知られる笑福亭松喬(60)だ。阪急時代からオリックス一筋。今季は25年ぶりの優勝に期待も膨らむが、長年の低迷続きで肩身の狭い思いをしてきただけに、松喬からはボヤキ節もちらほら…。

【笑福亭松喬インタビュー(1)】

――ファン歴は長い

松喬 地元が西宮ですし、阪急子供会で宝塚ファミリーランドがただで行けましたからね。そんなこんなで西宮球場もよく行くようになって、いいチームだなあと。巨人に勝って日本一になって、その後身売り(1988年)ということになってね。近鉄が10・19ですごいことになっていたけど、僕らにしたら、そんなんどうでもええがなって。師匠の家で見てはいましたけど。

――オリックスになっても一筋だった

松喬 ヨソに行けないし、どの顔して阪神行くねんって感じですよ。オリックスファンはホントの野球好きが多いし、野球をよく知ってますね。

――95年、96年はイチローの活躍で優勝した

松喬 イチローが入ったばかりのころ、阪神とオリックスの二軍の試合を甲子園で見たことがあったんです。阪神のドラ1の萩原(誠)が注目されていたんですけど、その時に南海の元監督の穴吹(義雄)さんが来られていた。ウチの師匠と友達だったんで、僕に「ライトの鈴木だけ見とけ」と言われたんですな。細いし、そんなに打つわけないと思っていたけど、その後に出てきましたからね。練習からファウルチップがなかったですもん。優勝した時はうれしかったですねえ。福本豊さんが「広島に勝って日本一でも全然うれしくない。やっぱ巨人に勝たな」って言ってましたけど、巨人に勝ちましたからね。

――そこから優勝から遠ざかっている

松喬 近鉄と合併して何もええことがないでしょう。監督が途中で交代したり…。選手にしたら今の球団には伝統がない。巨人なら長嶋(茂雄)さんが来たらみんなピシッとなるでしょ。去年はロッテに5勝18敗1分けって、こんなことしてて恥ずかしいと誰か思わんのかと…。阪神が弱い時にPL学園より弱いと言われていたけど、大学生とやってるんやないんやから。そういう伝統がないからかなあと思うんです。

☆しょうふくてい・しょきょう 本名・井田達夫 1961年3月4日 兵庫県西宮市出身。大阪産業大学卒業後、83年に笑福亭鶴三(6代目松喬)に入門。笑三、三喬を名乗り、2016年に7代目松喬を襲名した。88年にABC漫才落語新人コンクール落語部門最優秀新人賞、02年に第1回R―1ぐらんぷり決勝進出、05年に上方お笑い大賞最優秀技能賞、文化庁芸術祭優秀賞など受賞多数。トレードマークの角刈りから「落語界のプーさん」と親しまれ、大阪・天満の繁昌亭を中心に落語会やラジオ番組で活躍している。7月10日(土)に神戸・喜楽館で「米二 松喬 銀瓶 三人会」(午後6時開演)が行われる。

© 株式会社東京スポーツ新聞社