虎党タメ息3連敗、巨人2・5差接近でも阪神OB「いい時期に、いい経験ができている」の意味

初の同一カード3連敗にも矢野監督は冷静だった

いよいよライバルが背後に迫ってきた。首位・阪神は27日のDeNA戦(甲子園)に3―8で敗れ、今季初の同一カード3連戦3連敗を喫した。2位・巨人に2・5ゲーム差まで詰め寄られて不安を感じているファンも多いだろうが、ライバルに7連勝されても立ち位置が変わらないのは好材料でもある。それどころか、球団OBからは「いい時期に、いい経験ができている」との声も。いったい、どういう意味か――。

頼みの先発・秋山拓巳(30)が5回までに3発を浴び6失点でごう沈。聖地・甲子園に詰めかけた1万7032人の大半を占めた虎党は声援こそセーブしていたものの、さすがにタメ息だけはこらえられなかった。

同一カード3連戦3連敗は今季初。それでも矢野燿大監督(52)は至って冷静で「長いシーズンの中ではあること」とした上で「踏ん張りどころは毎日、来るし。巨人が調子いいことは分かっているけど、巨人と戦っていないときに負けさせることはできないので。自分たちが、どうするかを考えるのが大事」と前を向いた。

今季は開幕から首位を順風満帆に走り続け、69試合を終えてようやく訪れた試練の時。それでも貯金17を有し、眼下の巨人が7連勝しても、まだ追いつかれていない。加えて、この時期に阪神ナインはいい経験ができていると優勝経験のある球団OBは言う。どういうことか?

新型コロナ禍の影響で4万7508人収容の本拠地・甲子園は昨季から一度として超満員になったことがない。今年も6月20日までの緊急事態宣言下では無観客か1万人以下。同20日以降も本拠地のある兵庫県が「まん延防止等重点措置」を適用中のため、収容率50%以内の範囲での開催が続き、25日からのDeNA3連戦で、ようやく観衆が1万5000人を超えるようになった。さるOBは「本来なら今年は連日超満員だったはず」と切り出し、こう続けた。

「この前の巨人戦(18~20日、観衆7000~8000人台)から観客が増えたのはテレビで見ていても分かったし、選手たちもそれだけで雰囲気が変わったことを感じたと思う。今の阪神で優勝争いを経験しているのは日本ハム時代の糸井ぐらい。ほかの選手は、まだ夏場以降の本当の優勝争いを経験していない。超満員の誰もが注目するような中で、負けられない試合をする日がいずれ来る。もちろんそれは経験したものしか分からないだろうけど、お客さんが作ってくれる緊張感とともに、徐々に自分たちを高めていくやり方だって立派な準備になると思うよ」

甲子園を超満員にできる日がいつになるか分からない。ただ、観客数に関係なく、秋口になれば未経験の重圧とも戦わなければならなくなる。指揮官、選手ともども経験豊富な巨人に打ち勝つためにも〝準備〟が早い段階でできたのはプラスになるはずだ。

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