“無失点男” 西武・平良 エンゼルス・大谷と共通点?「母親を見れば選手が分かる」

まだまだ記録を更新しそうな西武・平良

育ちの良さのたまものか。西武・平良海馬投手(21)が28日のソフトバンク戦(京セラ)で2006年に阪神・藤川球児がマークした38試合連続無失点のプロ野球記録に並んだ。5―3の9回に4番手で登板。19球を要したものの、2三振を奪う力投で三者凡退に仕留めた。

偉大な記録に並んでも淡々としていた。試合後のヒーローインタビューでは表情を崩すことなく「一歩一歩の積み重ねでここまで来れたのでうれしいです」。マウンドでは少しだけ記録を意識していたそうだが、新記録に向けては「変わらず一歩一歩進んでいきたい」と言って締めた。試合前にファン投票で選ばれた球宴について、藤川が2006年の球宴で西武・カブレラと演じた名勝負「全球ストレート予告の空振り三振」を促されても「ボクの真っすぐなんて平均的な真っすぐなので、そんなことをしたら本塁打ばかりになってしまう。そこ(配球)は捕手にお任せします」と遠慮がちに語った。

そんな「謙虚さ」と「クレバーさ」は、今の平良を形成する2つのキーワード。その裏には現在メジャーを席巻する二刀流、エンゼルス・大谷翔平投手(26)に通じるフィジカルと知性の融合も見逃せないポイントとなっている。

西武関係者は「平良はマスコミ対応ひとつ見ても、入団時からしっかりとした自分の考えを持つ高校生だった。その辺は静岡出身のお母さんの教育なのかなという印象。強くて丈夫な体を両親からもらい、その教育によって自分で問題意識を持ち、自己解決能力を自然と身に着けていった。確か大谷も、そんな感じの〝ハイブリッド〟でしょう」と両者の類似点を指摘する。

沖縄・石垣島出身の平良と岩手・奥州市出身の大谷――。特に共通点はなさそうだが、近年のスカウティングの基本である「母親を見れば選手が分かる」というフィルターを通すと似た要素が見えてくる。それぞれ父親は当地出身。横浜出身でバトミントンの国体選手でもあった母親の間に生まれた大谷と、静岡から介護士として石垣島に嫁いだ母を持つ平良には、周囲の同級生にはない都会的センスと母親の優れた人間教育が授けられていたようだ。

昨今の一流選手の必要条件に「自分で考え問題を解決する能力」が挙げられているが、その影響を最も受ける母親の人柄を含めた調査はやはり理にかなっているのかもしれない。

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