カオスすぎる都議選葛飾区! 候補13人乱立に立花孝志氏が苦言「動機が不純」

都議選葛飾区選挙区のポスター

東京都議選(7月4日投開票)の葛飾区選挙区(定数4)が、なんともにぎやかな選挙戦となっている。13人が立候補したことで、定数3以上の選挙区では最も倍率が高い(3.25倍)激戦区となった。なぜこんなにも候補者が乱立しているかといえば、11月の同区議選の前哨戦になっている背景があるからだ。

漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の舞台となった葛飾区で、破天荒な両さんもあぜんとするであろう選挙戦が繰り広げられている。

ポスター掲示板は「葛飾区民へ10万円支給します」「マンガ・アニメ・ゲームの表現の自由を守る」「当選したらすぐ辞めます!」と個性豊かな公約を掲げる候補者であふれている。

立候補したのは、高橋淳也氏(41=テレビ改革党)、後藤輝樹氏(38=SDGs党)、和泉尚美氏(59=共産党)、舟坂誓生氏(73=自民党)、根本良輔氏(27=つばさの党)、北口剛士氏(46=公明党)、中谷基志氏(49=無所属)、米川大二郎氏(53=都民ファーストの会)、平田充孝氏(47=自民党)、小川優太氏(30=無所属)、岩崎孝太郎氏(39=立憲民主党)、河合悠祐氏(40=愛の力党)、黒瀬信明氏(36=議席を減らします党)の13人。

4年前の都議選では、同区は8人で争った。定数が増えたわけでもないのに5人も増えた格好だが、何が起きたのか?
後藤氏と河合氏は3月の千葉県知事選に立候補し、公開プロポーズやピエロに扮してのネタ披露などカオス過ぎる政見放送で話題になった。

都議選でも後藤氏が結婚式での誓いのキス風、河合氏が「私はバカでしょうか?京大卒。」と目を引くポスターを掲示している。この2人は、11月に予定されている同区の区議選への連戦を公言している。都議選は顔見せ舞台となっており、ほかにも同様のプランを持つ複数の候補者がいるのだ。

区議選の定数は40で、当選へのハードルが低いとされる。「嵐の党」(28日に「古い政党から国民を守る党」から党名変更)の立花孝志党首(53)が、4年前に都議選最下位落選から区議選に当選。その後、参院選で当選したことにより、所属の旧N国党は国政政党となった。

この“立身出世”の例と同じ道を歩もうとしている候補者が多いというカラクリで、“本番”となる区議選にはユーチューバーや異色候補の大挙参戦が予想され、候補者の数は70人(前回は59人)前後まで膨れ上がるのではないかと見込まれている。しかし、この状況に待ったをかけようとしているのが、ほかならぬ立花氏だ。

立花氏は「立候補している人たちは動機が不純。中途半端な公約、できもしない公約を掲げ、議員報酬目当て。僕が『確かに儲かりますよ』と言い続けたので、まともに乗ってしまった人たちがいる。政治はあくまで命がけでやらないといけない」。都議選の告示2日前には、自身が手掛ける「議席を減らします党」から黒瀬氏の擁立を発表した。

「100日後に辞める」が公約で、当選しても3か月後に議員辞職することで、議員1人にかかる税金を確実に削減するのが目的。身を切るどころか身を捨てる究極の“玉砕戦法”だ。

区議選にも、複数の“100日後に辞める議員”を刺客として送り込む考えがある。立花氏は「もう選挙には出ないと言ったが、3か月後に辞めることが確実なので、自分が出てもいいと思っている」と自身の立候補すらもにおわせた。

愛の力党の河合氏は「立花さんが出てくれば、ヘビー級チャンピオンがそこらの高校生に手を出すというものでしょ。僕らなんか相手にしないでくださいと言いたいが、それはそれで盛り上がるかもしれません」と複雑な表情を見せた。

区議選は、都議選以上のカオスな選挙となることは間違いない。

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