国内初 大陸系植物「オオヒメキセワタ」に命名 五島列島で発見

国内で初めて五島列島で確認された「オオヒメキセワタ」=五島市(中西弘樹氏提供)

 国内でこれまで確認されたことがなかった大陸系の植物が五島列島に分布しているのを、長崎大名誉教授の中西弘樹氏(植物生態学)が発見した。和名で「オオヒメキセワタ」と命名し、6月20日に発行された学会誌「植物研究雑誌」で公表した。
 オオヒメキセワタは多年草。3月下旬~5月初旬に花が咲き、同月中旬に実を付ける。
 中西氏は2010年に福江島で発見。当初、九州南部などに分布するシソ科ヒメキセワタと考えたが、観察を続けるうちに疑問を抱き、標本を比較検討。その結果、根元からの草丈は20~31センチでヒメキセワタより約10センチ高かった。葉も約10センチと6センチほど長く、縁にあるギザギザした部分の「鋸歯(きょし)」の数も多かった。さらに花冠も長いため、別種と判断した。
 昨年、鹿児島大総合研究博物館の田金秀一郎特任助教(植物分類学)に調査を依頼したところ、中国南東部と台湾に分布している植物と判明。日本に自生している記録はなく、オオヒメキセワタと名付け発表した。これまでの調査で五島市の福江島で6地点、新上五島町の1地点で確認されている。
 中西氏は「日本列島の西端に位置する本県の離島は大陸系の植物が多く、大陸と五島列島の関係を示している。今後も大陸系植物の発見が期待される」としている。

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