菅首相の「無観客あり得る」発言は有観客開催強行への〝レトリック〟か

菅首相

菅義偉首相の「無観客あり得る」発言に、ネット上ではこれをうのみにできないとの見方が少なからず寄せられている。

報道陣に1日、新型コロナウイルス感染の再拡大で緊急事態宣言を再発令した場合、開幕が迫る東京五輪およびパラリンピックについて「無観客もあり得る」と語った菅首相。国際オリンピック委員会(IOC)などとの5者協議で観客上限を1万人と決めた6月21日、安全安心を最優先させるため、再度の宣言発令なら「無観客も辞さない」とした発言を改めて強調した形だ。

ところが、これは「緊急事態宣言が再び発令された場合」という前提つきであり、再発令がなければ観客を入れるという解釈もできる。

ネット上では「開催中に感染者がどんなに増えても発出しないで、終了直前に出す魂胆」「緊急事態宣言出さなきゃ屁でもない」「簡単に発出しないでしょう」といったコメントも散見される。菅首相の発言をそのまま受け取れないのだろう。

「緊急事態」という言葉を避けつつ、まん延防止等重点措置を延長し、その範囲内で対策を強化するのではとの推測も。もちろん、感染拡大が深刻であれば、有観客での開催を望む菅首相も再発令と無観客を決断し、5者協議に諮る対応をとらざるを得なくなる。

質問に正面から答えない答弁が、紙を食べてしまうヤギに例えて「ヤギさん答弁」と批判された菅首相。前提付きの「無観客あり得る」は、有観客開催強行への〝レトリック〟なのか…。

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