東京五輪に出場するアスリートへの新型コロナウイルスのワクチン接種は先月1日にスタート。すでに多くの選手の接種が完了し、最終的には国内選手の接種率は約95%になる見込みだ。
しかし、アスリートの悩みは払拭されていない。特に2回目の接種後の副反応を懸念する声は多く、未知数な部分が不安感を募らせているようだ。また、当初は「ワクチンの種類によってはドーピングで引っかかる可能性もある」といったデマも流れたが、本当なのか?
日本アンチ・ドーピング機構(JADA)の浅川伸事務局長(51)に問い合わせると「コロナのワクチンについてはWADA(世界反ドーピング機関)が2020年12月11日にウェブサイトでステートメントを出しています。その後もスタンスを変えていません」と説明。その声明によると、WADAは「禁止表国際基準に記載されている禁止物質およびアンチ・ドーピングにおける検体分析に影響をもたらすことは報告されていない」と明示。そればかりか「あなた自身の健康のため、周囲の人々、一般市民の健康のためにもワクチンは強く推奨されている」と、むしろ接種を推し進めている。
さらに、浅川氏はこう補足する。
「仮に禁止物質が含有するワクチンが(これから先に)できたとしても、治療的価値と社会的事情を踏まえて、禁止物質を使わざるを得ない事情に該当するので、ルール上の違反とは扱われません」
なお、世界アンチ・ドーピング規程の「治療使用特例に関する国際基準(ISTUE)には「禁止表に掲載された禁止物質や方法を、治療目的のために使用せざるを得ない場合、治療使用特例(TUE)を申請することができます」と記されている。意図せぬドーピング違反で悲劇を味わったアスリートも過去にいたが、ワクチンに関しては心配無用のようだ。