ホンダ 新型シビックはなぜ大画面ディスプレイを採用しなかったのか!? その答えは操作性と安全性の確保のためだった

国内外問わず、昨今の最新モデルは超ワイドディスプレイを採用している中、新型シビックは一般的な9インチナビを搭載している。言葉を選ばずにいうならば、新型シビックの内装はインパクトに欠けるのだった。そこでなぜ新型シビックはフツーのナビを採用することになったのか? 開発者に直撃してみた。すると「安全性や操作性といった部分を第一に考えた結果である」というが、どんな理由があるのか!?

ホンダ 新型シビック

新型シビックは全車に9インチナビが標準装備。大画面化を選べなかったワケ

ホンダ 新型シビックに搭載されるのは、9インチのコネクテッドナビとなる。EXとLXの2つのグレードをラインアップし、どちらもナビは標準装備となるのは嬉しいポイントである。しかもこのナビはその名の通り、スマホが鍵になるデジタルキーや車内Wi-Fiなど、さまざまなコネクテッド機能を有しているモノである。

機能面は十二分にいいのだが、気になるのが冒頭に述べた通り画面サイズにある。というのも新型シビックの内装を見ると水平基調デザインとなっており「これならば、もう少し大画面化をしてもいいのでは?」と感じる仕上がりとなっているのだ。そこで開発者に疑問をぶつけてみたというワケだ。

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9インチが最適解! 運転席からの操作性を第一に開発

新型シビックの内装は水平基調デザインを採用。そのためスペース的に考えても大画面化も可能であるが、操作性を第一に考えたのだ

すると「今回新型シビックを開発する際に、大画面化も視野に入れていた。だが、操作性を考えてこのサイズに至った」と語る。

どういうことか? 今回採用しているナビはタッチパネル操作となっている。そのため超ワイドディスプレイなどにすると、運転席から姿勢を動かさなければ操作ができない場合もある。そのため9インチであれば、たとえば画面左端のボタンを操作するにも姿勢を崩さずに操作ができるというワケだ。

もっとも音声検索機能などが充実していれば、超ワイドディスプレイの採用も現実味を帯びるが、“現段階では9インチディスプレイが最適解”というのがホンダが出した答えなのだ。

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エアバッグの展開スペースも要因の一つ! 9インチを選んだのは安全性から

例えば助手席にまで及ぶほどの大画面を採用した際、衝突時に画面に乗員がぶつかってしまうケースなども考慮して開発を進めたのだ

そしてもう一つの理由が安全性である。万一事故に遭遇してしまった際、エアバッグが展開されるのはご存知の通り。もし超ワイドディスプレイを採用してしまうと、エアバッグの展開位置に干渉する恐れがあるのだ。加えて、衝突時に乗員がもし画面にぶつかってしまうと、大怪我につながるケースも考えられるため、新型シビックには9インチナビを選んだというワケだ。

大画面もいいが、まずは操作のしやすさが一番

昨今のクルマは多くのクルマで大画面化が進められている。たしかにナビなどの視認性はいいが、操作性や安全性を考えると新型シビックのような9インチディスプレイがほどよい落とし所なのかもしれない。

もっとも先進性など、目新しさを考えれば大画面化も大いにありである。だが、シビックはあくまで大衆車であり、誰しもが使いやすいと感じられる設計としたということだ。

実際に乗ってみると、運転席から姿勢を動かすことなくスムースに操作ができるのだった。だからこそ、シビックに限らずこれからクルマを購入する方は、実際に座ってナビなどの操作を体感した上でクルマを選んで欲しい。

【筆者:MOTA編集部 木村 剛大】

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