梅雨前線による記録的な大雨で、神奈川県内で確認された土砂の崩落や崖崩れなどの件数が120件を超えたことが4日、県のまとめで分かった。住宅の浸水被害も出ているが、調査が進んでいない地域もあり、さらに拡大する可能性がある。
県の集計によると、崖崩れなどの被害は広範囲で発生し、横浜市や平塚市、小田原市、伊勢原市、南足柄市、中井町では各10件以上確認されている。大規模な土石流が起きた静岡県熱海市に隣接する湯河原町でも、7件が報告されているという。
崖崩れで通行止めとなっていた松田町の国道246号は3日深夜、片側交互通行で再開した。国土交通省横浜国道事務所は「今後の雨も勘案しながら対策を検討する」としている。
住宅の床上・床下浸水は20棟以上。金目川と河内川で氾濫があった平塚市のほか、伊勢原市などで目立つ。同市は「河川の氾濫ではなく、下水道の処理能力を超えてあふれる『内水氾濫』とみられ、被災地域は点在している」という。
3日に県内21市町に発表された土砂災害警戒情報は全て解除されたが、県内は4日も雨が続き、降り始めとなった6月30日からの雨量は箱根町で835.5ミリに達した。
5日も雨が予想されており、市町村の担当者からは「『崖が崩れそう』といった不安の声が住民から寄せられているが、二次災害の恐れもあり、現場確認が難しい」「本格的な調査はこれから。被害はさらに増える恐れがある」などと、長期化の影響を危惧する声が上がる。
黒岩祐治知事は4日、「県内では一昨年の台風19号に匹敵するほどの大雨が降り、100件を超える崖崩れが起きている。地盤が緩んでおり、警戒を怠らないでほしい」と呼び掛けた。