住宅ローン残債6200万。10年後に繰り上げ返済したいが、いくら手元に残せばいい?

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回は、38歳、会社員の女性から、住宅ローンについてのご相談です。夫も38歳で共働き、1歳のお子さんをもつ相談者。10年後に住宅ローンの繰り上げ返済をしたいといいますが、教育費を考慮して、いくらまでなら可能でしょうか? FPの飯田道子氏がお答えします。

10年後に極力住宅ローンの繰上げ返済をしたいのですが、いくら手元に残せばいいのかなど、家計分析をお願いします。教育資金との関係でもご助言いただきたいです。

住宅ローン:物件購入額7,500円、借入額6,500円、金利0.65%(10年固定)、返済期間35年、残債6,200円。

【相談者プロフィール】

・女性、38歳、会社員、既婚

・同居家族について:夫、38歳、会社員。子ども1人、1歳。

・住居の形態:持ち家(マンション・集合住宅、東京都)

・毎月の世帯の手取り金額:70万円

・年間の世帯の手取りボーナス額:400万円

・毎月の世帯の支出の目安:47万円

【相談内容】

・住居費:25万円

・食費:5万円

・水道光熱費:2万円

・教育費:1万円

・保険料:4万円

・通信費:1万円

・お小遣い:4万円

・その他:5万円

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:10万円

・ボーナスからの年間貯蓄額:100万円

・現在の貯金総額(投資分は含まない):2,500万円

・現在の投資総額:1,000万円

・現在の負債総額:6,200万円


飯田:今回は、家計分析と10年後に住宅ローンの繰上げ返済を検討している相談者様です。手元に残こすべき金額はいくらか、教育資金を踏まえて、アドバイスが欲しいとのことです。相談者様の場合、いくらまで返済することが可能なのでしょうか? 教育費や全体的な家計に関してもお話してみたいと思います。

どのような教育を受けさせたいのかをイメージしておく

今回のベースにあるものとして、教育費の出費があります。お子様はまだ1歳ですので、自分でどのような道に進みたいのか、まだ決められません。そこで大切になってくるのが、いくらくらい準備しておけば良いのかということです。

具体的には、どのような学校に通わせたいのかがポイントになります。幼稚園から受験して私立で通うのか、多くの家庭がイメージする、中学校まで公立で、高校から大学までは私立に通うなどがあります。

ご存知のように、学校によってかかる費用は変わってきますし、音楽や芸術、理系や医学などは、文系に比べて費用はかかります。音楽や芸術の場合、受験のためのレッスンが高額になる、理系や医学は、在学中アルバイトがしにくく、お小遣いを含めた費用を親が負担しなければならなくなってしまいます。

もし、現状で希望する進学先があるなら、どのタイミングでいくらくらい必要になるのか、確認しておくことをお勧めします。

データを参考に教育費を算出しておく

お子様はまだ小さいため、まずは一般的なデータを参考に、予算立てをしておきましょう。もちろん、具体的に決まっているのなら、そのデータを使って教育費を算出しておきます。

ここで、多くの家庭がイメージするコースを進んだ場合の教育費を確認してみましょう。生命保険文化センターによると、公立に通う小学生の6年間の教育費は192万円、公立の中学校では146万円、私立の高校では290万円、私立大学文系・自宅通学では824万3,000円、下宿では1,113万9,000円となっています。

このコースの金額には塾等も含まれていますが、総額で1,452万3,000円~1,741万9,000円かかることがわかります。

頂いた費用の内訳に保険料の項目がありますが、確実に教育費として準備しておくなら、学資保険を利用してもいいですね。

また、教育費は無償化が進んでいますが、世帯年収によって対象か対象外かが変わってきます。相談者様の場合、補助が受けられたとしても、現状ではわずかな金額になってしまうでしょう。

ここまではあくまでもお子様の教育費のみの金額です。その他に家族のライフイベントがいくらになるのかを考えて予算立てしてください。

住宅ローンは10年後、いくら返済してもよい?

毎月の貯蓄額が10万円ですので、10年間では、10万円×12カ月×10年=1,200万円。ボーナスからの貯蓄額は100万円ですので、10年間では100万円×10年=1,000万円です。

元々の貯蓄は2,500万円ですので、10年後には4,700万円、手元にある計算になります。教育費としては、1,700万円確保できていればいいので、単純計算として3,000万円までは、返済に回してもよい計算になります。

ただし、学資保険に加入し、教育費を手当している場合には、その分の金額を差し引いて計算しても良いですね。教育費を確保できていれば、後はセカンドライフのため、更なる繰り上げ返済に回すことも可能になります。

差額部分の管理がポイントになる

支出額と貯蓄額の内訳を拝見しましたが、毎月の支出で23万円、ボーナスでは300万円の差額があります。すでに用途が決まっており、こちらに計上されていないだけかもしれませんが、差額部分に使途不明金はないのか? 無駄にしているものはないのか? を確認しておきましょう。

差額部分のお金の流れを明確にすることで、さらに貯蓄のペースが進むことも考えられます。住宅ローンの返済に回せる金額も多くなりますよ。

将来を見据えてお金の管理を心がけている相談者様のことですので、無駄遣いはないと思います。ただ、夫婦それぞれで働いていると、ストレスがたまったり、息抜きがしたくなったりすることもあると思います。適度に楽しむイベントを用意し、仕事もプライベートも楽しむことを心がけていってくださいね。

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