ライオンズの若き龍・綱島龍生選手の活動報告 〈18〉1軍経験基にFオールスター戦へ

 交流戦真っただ中の6月10日。綱島龍生の姿は1軍の本拠地・メットライフドームではなく、隣接するCAR3219フィールドにあった。

 5月28日、球団内での新型コロナウイルスの感染が確認された影響で今季2度目の1軍登録となった綱島だったが、プロ入り初安打を放つことなく再び2軍(ファーム)行きとなった。今回の1軍帯同も約2週間という短い間。だが、「1軍の空気を感じたこと、交流戦のタイミングで1軍に帯同できたことをプラスに捉えています」と振り返る。

 6月3日は東京ドームでの読売ジャイアンツ戦に代打で出場。1打席立つも結果はセカンドフライだった。「『代打でいくぞ』って言われていましたが、いつも通りの準備で打席に入れませんでした」と唇をかんだ。

 幼い頃、東京ドームは野球中継をテレビで見た綱島にとって夢の空間。イチロー氏がマリナーズ時代、同球場でプレーした時には現地で観戦した。「あのイチローさんと同じ左打席に立てる」と気分が高ぶっただけに、結果を出せなかったのが悔しかった。

 1軍帯同中はベンチで過ごすことがほとんどで、試合感覚、特に打席での感覚が薄くなってしまうことを不安に思っていた。ファームに戻ってからもスタメンを外れることが多く、実戦から離れてしまっているが、「1軍では途中出場を求められることが多いと思うので、試合中の準備という面では良い経験になっていると思います」とプラスに捉える。

 課題に挙げていたのは〝打席でのファーストストライクを仕留める〟こと。それは「打席での意識はしっかり持ちながら、より確率を上げ、いかに質の良い打球を打つことができるかということを模索しています。まだまだ完成度としては低いですが、バッティング練習中の打球の感覚はだいぶ良くなっていると思います」と手応えを感じている。あとは実戦で結果を出すだけだ。

守備練習中、明るい表情の綱島(球団広報部撮影)

 二塁が本職の綱島だが、現在ファームではけがからの1軍復帰を目指す外崎修汰が二塁を守っている。守備練習で一緒になる綱島は「守備の一歩目をどう出していますか」と質問。基本的に前で取れる球は前で捕球していると聞いて、早速やってみると「今までより早く捕球できる分、送球時に余裕ができます」と効果を実感。ファームで調整中だった源田壮亮とは話す機会がなかったものの、同僚の川野涼多から「源田さんは(守っている時から)グラブを地面スレスレに構えている」と教えてもらった。綱島も構える時はグラブを胸の前に持ってきてしまいがちだが、源田は構えから捕球まで、ほぼ同じ位置。これも早速実戦し、〝良い感覚〟を覚えた。

 残り数試合でファームの公式戦も折り返しとなるが、ここまでの自己評価は30点と厳しい。「バッティングの調子の波をなくす」ことを一番の課題に挙げるものの、久しぶりに打席に立った時、何かが違うと感じ、悪循環から抜け出せなくなってしまうことがある。ボールの見え方、待ち方、雰囲気、感覚的なものにしっくりこないことがあり、あらためて野球の難しさを痛感している。

 一方で、ファームで奮闘中の綱島にうれしい知らせも届いた。6月28日、松井稼頭央2軍監督から告げられたのは「フレッシュオールスターゲーム」(7月15日、松山・坊っちゃんスタジアム)への初選出。「代表に選出していただき、めっちゃうれしく思っています。松山のファンの皆さまの前で、いいバッティングをしたいです。なかなかない機会ですし、楽しんでプレーしたいと思います。普段一緒にやらないメンバーともお話をする機会があると思うので、野球の話などをしていろいろと吸収できたらと思います」と綱島は語る。

 自身初の経験を今後の糧にしなくてはならない。目の前の課題を一つずつ解決して「次、1軍に呼ばれた時には自信を持って行けるようにしたい」と前を向き、白球と向き合う日々は続く。(西武ライオンズ広報部)

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