西武・松坂引退で早くも期待される「最後のマウンド」 球団はアドバイザー就任打診か

松坂の雄姿はもう一度見られるのか

西武が7日に松坂大輔投手(40)の今シーズン限りでの引退を正式に発表した。松坂は2019年オフに中日を退団し、その後古巣・西武に電撃復帰。昨年7月に「脊椎内視鏡頸椎手術」を受けてからはリハビリ中心の生活を送っていたが、完治に至らなかったことが今回の引退につながった。だが、本人が最後まで復活の道を探っていたことは事実。それだけに、現場では早くも「最後の雄姿が見たい」との声が強まっている。

ここまで何度も大きなケガを克服してきた「平成の怪物」がついにユニホームを脱ぐ決断を下した。プロ23年目の右腕は今年、西武のB班で春季キャンプをスタート。昨年7月に受けた「脊椎内視鏡頸椎手術」からの復活マウンドに向け、地道にリハビリを続けていると思われていた。

だが、本人と親しいチーム関係者によれば松坂自身がもっとも気にしていた右手のしびれは術後1年経っても完治の兆しを見せなかったという。

「右手指の感覚があまりないのか、日常生活にも支障を及ぼしていたようですから。さすがにこの状況からマウンドに上がることが想像できなかったのでしょう」

そんな松坂の現状を察知しているからだろうか。松坂の引退発表を受けてから選手、関係者の間で「最後の雄姿が見たい」と一夜限りの復活を望む声が強まっている。

この日、西武・渡辺GMが現在の本人の状況について「体調面、精神面でも決して万全とは言えない状況です。体調面、精神面が回復した段階で会見という形で、皆さまの前で本人から気持ちを話すことができると思います」とコメントしたように、現時点で平成の怪物が今季中に公式戦のマウンドに上がる可能性は低い。

だが、球団が「今季限りで」とシーズンオフの引退を強調したのは、本人が最後まで続けていたマウンドに上がる努力を無駄にさせないため、とも言われる。西武ナインを中心に松坂を知る選手、関係者らもその思いは同じ。となればシーズン終盤のどこかで「1日限り」の登板が実現する可能性は十分にある。

「西武にとって松坂はチーム最大の功労者の一人。本人の体調を見ながらになるでしょうが、松坂自身も最後にマウンドに立ちたい思いは少なからずある。だからこそ、その舞台を作ろうという機運が高まっているのです。そのうえで引退後は、西武から球団アドバイザー就任を打診される可能性が高い。家族の住む米ボストンに一度戻るはずですから、異国からチーム強化と将来的な指導者に向けての準備をすすめる公算が高い」とは前出関係者。

平成の怪物の引退は寂しい限りだが、まだ時間はあるだけに…。松坂の最後の復活を誰もが願っている。

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