ブランド枝豆「弥彦むすめ」で知られる新潟県弥彦村が弥彦産枝豆の新たなブランドを立ち上げ

弥彦産枝豆の新ブランド発表会見の様子

ブランド枝豆「弥彦むすめ」で知られる新潟県弥彦村は8日、弥彦産枝豆の新たなブランドを発表した。

発表されたのは、茶豆「伊彌彦ちゃまめ」、晩生枝豆「伊彌彦えだまめ」の2ブランド。弥彦村の小林豊彦村長は、「弥彦村は米作が盛んだが、このままだと25年後に消滅する集落が農村部で出るという予想がある。なんとかこれを食い止める必要があるが、その一番の方策は、子供達が跡継ぎになってくれる農業を実現すること。跡継ぎが出る農業というのは儲かる農業のこと。10アールあたりの反収はコシヒカリ一等米で15〜16万円だが、枝豆だと標準で30万円、歩留まりを高めている人だと60万円になっている。枝豆で子供達が跡継ぎになる農業を実現したい」と話していた。

弥彦村の小林豊彦村長

弥彦村では50年以上にわたり、ブランド枝豆「弥彦むすめ」を生産し県内外に出荷しているが、こうした生産技術を活用し、2つの新ブランドを立ち上げた。生産者は、これまでの弥彦むすめと合わせて3ブランドで、5月から10月までの半年間、弥彦産の枝豆を出荷できるようになる。

また、来年の本格稼働を目指し今年8月に試験操業する選果場(公設民営で運営はJA越後中央が担当する)で、選別作業の自動化などを進めて農家の大規模生産(つなり所得の向上)を後押しするほか、村内外からの新規就農者なども確保(今年は2人の研修生が新規に就農したという)し、農村部の活性化につなげていく。「現在、約30ヘクタールの枝豆の作付面積を来年中に66ヘクタールに拡大したい」(弥彦村)という。

このほか、選果場に「採れたての状態を2週間維持できる急速冷凍庫」を導入する計画があり、これが実現すれば、輸出や、国際線ファーストクラスでの提供も可能になるという(実際、国際線ファーストクラスへの提供は話を進めているそうだ)。

一方、これまで生産量が少なく見送っていたという「ふるさと納税の返礼品」としての取り扱いも始めた。1万円の寄付で1.5キログラムの枝豆が返戻金として届くコースや、2万円(返礼品は5キログラムの枝豆)など業務用として使えるコースなどもあるという。8日から予約受付を始め、7月下旬には発送する。

「伊彌彦えだまめ」をふるさと納税の返礼品として取り扱いも始めた

米価は下落傾向にあり、稲作に依存してきた新潟の農業は他県と比べても厳しい状況にある。特に今年秋は、昨年の米価維持の反動で米価が暴落するとの観測も出ている。こうした中、枝豆という高収益作物の導入により農村部の活性化を目指す弥彦村の取り組みに今後注目が集まりそうだ。

伊彌彦ちゃまめ

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