新潟財務事務所発表の4から6月期県内企業の景気予測調査は、2期ぶりに下降超幅が縮小

財務省関東財務局新潟財務事務所の山岸徹所長

財務省関東財務局新潟財務事務所は11日、2021年4月から6月期の法人企業景気予測調査を発表した。同調査結果によると、県内法人企業の景況判断BSIは前回調査(1月から3月期)の△30.5%から12.8ポイント上昇して△17.7%となり、2期ぶりに下降超幅が縮小した。

景況判断BSIとは、前期と比較して「上昇」と回答した法人から「下降」と回答した法人数を引いた社数構成比。調査は5月15日時点のものであり、県内に所在する資本金1,000万円以上の法人213社(回答181社)からの回答を元に分析している。

全規模・全産業の企業の景況判断BSIは、△17.7%(前回△30.5%)。企業の規模別に見ると、大企業のBSIは△5.0%(同△23.1%)、中堅企業は△14.0%(同△14.3%)、中小企業は△24.5%(同△42.7%)。業種別に見た場合、製造業は△15.1%(同△32.8%)、非製造業は△18.8%(同△29.3%)で、下降超幅が2期ぶりに改善したことから両業種ともに企業マインドが改善していると見る企業が多い。

製造業では特に、国内向けの工作機械の受注が回復傾向にあり、中国向けを中心とした海外需要も例年以上に伸びた生産用機械と金属製品が上昇に大きく寄与した。一方、巣ごもり需要がひと段落ついた食料品製造業などは下降傾向を見せている。

また非製造業では、公共・民間ともに工事の受注が減少したことや、ウッドショックの影響もあった建設業や運輸業が下降に大きく影響した。

規模別企業の景況判断BSIの推移

今後、7月から9月期は引き続き全規模・全産業で下降超幅が縮小すると予想されており、関東財務局新潟財務事務所の山岸徹所長は「新型コロナウイルスワクチンの進展に伴う経済活動の活発化によって、企業マインドとしては回復傾向にある。しかし、全国的な緊急事態宣言や県内の特別警報の影響などから、回復の程度は前回(2月)調査時に期待されたほどには至っていない」と所感を話した。

2021年は設備投資が増加の見込み

企業収益と設備投資について

企業収益では、2021年の売上高は全規模ベースで前年度比3.5%の減収の見込みで、経常利益は同6.0%の減益見込みとなっている。製造業では、受注はコロナ禍の影響から回復傾向にあるものの、売上に計上されるまで時間を要することから今年の収益への反映は限定的であるという。

一方、2021年の設備投資は全規模・全産業で前年比8.2%増加を見込む。前年度は当初計画の見直しにより設備投資の一部を先送りした企業もあったが、今年度は例年通りに実施することも増加の要因になっている。

また、6月末時点の設備判断BSIは、大企業は前年から引き続き過大と判断しているが超幅は縮小。中堅企業は過大から均衡に転じ、中小企業は不足超幅が拡大した。特に業種別で、非製造業が過大から不足に転じ、規模と業種全体でも同様の傾向を示している。

設備投資へのスタンスは、全規模・全業種で「維持更新」のためと回答する企業が最多で、次いで「省力化・合理化」「商品やサービスの質的向上」を挙げる回答が多いと山岸所長は説明し、今後設備投資から景気のサイクルが好転することへの期待も示した。

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