急速に増える韓国の家計負債 金利上昇で焦げ付きリスク化が現実化も(韓国研究機関)

最近、急速に増えている韓国の家計負債について憂慮する報告書が発表された。

韓国経済研究院(韓経研)は8日、「家計負債状況の分析と示唆点」という報告書を発表した。同報告書によると、現在、韓国経済の家計負債規模は1936兆ウォン(約186兆円)で、国内総生産(GDP)に比べ家計負債の比率が100%を超えている。家計負債の増加スピードも前年比9.4%となっており、主要国の中で圧倒的な1位を記録している。

家計所得のうち、負債に耐えられる能力を評価する指標である「可処分所得比家計負債」の割合も、経済協力開発機構(OECD)加盟国のなか最上位圏となる170%超となった。

昨年基準の一世帯当たりの平均負債額は8256万ウォン(約790万円)で、2016年(6654万ウォン)に比べ24%増加した。

報告書は、「金融資産比家計負債比率」や、「流動化資産余力指数」など、金融市場の影響への対応余力や実質的な債務返済能力を示す指標が、最近5年間で脆弱層を中心に急速に悪化したと説明した。

報告書は、特に金利引上げが近づいているみられる現時点で、それが実施されれば、元利金償還負担の上昇により家計負債の焦げ付きリスクが現実化すると指摘した。そのため、償還リスクを分散させるなど細心の注意が必要であると強調した。

韓国政府は、家計負債軽減のため、今月から総量規制的なDSRを施行することにした。

イ・スンソク韓経研副研究委員は、「景気回復の岐路に立っている現状では総量規制政策を繰り返すのではなく、長期的・固定金利の中心への転換など、家計負債の合理化を迅速に推進する一方で、政府は、ガイドラインを提示して、実質的な返済能力の審査は、市場の自律に任せる先進国型の与信慣行の定着が家計負債問題のより根本的な解決策だ」と強調した。

(参考記事:「韓国の家計負債は世界平均を大きく上回る…金利上昇時に衝撃恐れ」)
(参考記事:「韓国でインフレめぐり議論、民間債務やコロナダメージに懸念…研究者セミナー」)
(参考記事:「米金利引き上げで韓国はジレンマに? 「資金流出か、家計利子負担増か」韓国研究機関」)

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