「韓国の民間債務は他国より速く増えている 企業負債含めGDPを上回る」韓国研究機関

韓国の民間債務が他の国に比べて速いスピードで増え、家計と企業の負債がすでに国内総生産(GDP)を上回るという分析が出ている。

特に家計負債に関しては、所得よりも早いスピードで増えており、返済能力も脆弱になっているとの評価だ。

全国経済人連合会傘下の韓国経済研究院(韓経研)は、国際決済銀行(BIS)と経済協力開発機構(OECD)の統計を活用して、2016年末から昨年末まで、最近の5年間における、韓国の民間債務の推移を分析した結果、このように明らかになったと10日に明らかにした。

韓経研によると、韓国のGDP比家計負債の比率は87.3%から103.8%へと、5年で16.5%ポイント増加した。

(画像:韓経研が発表した報告書「民間負債現況および国際比較」キャプション)

同じ期間、世界平均および主要5カ国(アメリカ・日本・英国・フランス・ドイツ)の平均はそれぞれ11.2%ポイント、6.4%ポイント上昇したことを考慮すると、非常に速いスピードである。

韓国は、企業の負債増加スピードも速いことが分かった。GDP比の企業の負債の割合は94.4%から111.1%へと16.7%ポイント増加した。世界およびG5平均は、それぞれ18.0%ポイント、14.9%ポイントの上昇となっている。

韓経研は、収入によって負債レベルを評価する指標である可処分所得に対する負債の比率(DTI)と所得に対する元利金償還比率(DSR)をG5と比較すると、韓国家計負債は家計所得よりも速く増えており、返済能力が急速に脆弱になっていると指摘した。

2015〜2019年の韓国の家計DTIは28.3%ポイント増え、増加幅がG5(1.4%ポイント↑)の20倍に達した。同じ期間の家計DSRも韓国は平均1.6%ポイント増加したが、G5は0.2%ポイント減少した。

一方、韓国企業の負債返済能力は、家計より良好であった。昨年末基準、韓国企業のDSR割合は39.7%でG5の42.7%よりも低かった。最近5年間のDSR増加幅は、韓国とG5がそれぞれ3.7%ポイント、6.6%ポイントを記録した。

韓経研は韓国の民間部門の「金利防御力」が脆弱な状況で、米国よりも先制的な緊縮金融政策は止める必要があると提言した。

韓国の家計は、不動産に偏重された資産ポートフォリオのため、流動性危機に脆弱であり、赤字世帯が多く、金利の引き上げ時に低所得層が困難を被る可能性があるからである。

企業も、3年連続の営業利益で利子費用をカバーできない「限界企業:の割合が高く、金利引き上げ時に零細企業への打撃が大きくなる可能性があると韓経研は伝えた。

(参考記事:「韓国の対外金融資産が史上最大の216兆円に…海外投資ブームが原因 一方で負債も最大に」)
(参考記事:「韓国の家計負債は世界平均を大きく上回る…金利上昇時に衝撃恐れ」)
(参考記事:「米金利引き上げで韓国はジレンマに? 「資金流出か、家計利子負担増か」韓国研究機関」)

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