【東京五輪】〝切り札〟無観客開催を前倒し投入…関係者が恐れる「途中打ち切り」の最悪シナリオ

歓迎されなかったバッハ会長(代表撮影)

どうなってしまうのか…。東京五輪開幕が2週間後に迫る中、政府は8日に東京都で新型コロナウイルスの緊急事態宣言を再発令することを決定。1都3県の会場で無観客開催となることも正式に決まった。同じ日に国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(67)が来日したが、あまりの間の悪さに国民は猛反発。五輪関係者からは〝最悪のシナリオ〟が飛び出すなど、祭典からは程遠い異様なムードが漂っている。

いまだかつて、このような雰囲気の五輪などあっただろうか。日本選手団の壮行会も終わり、いよいよ開幕へ…というタイミングで、政府は東京都で4回目となる緊急事態宣言発令を決定。これを受けてIOC、大会組織委員会、政府、東京都、国際パラリンピック委員会による5者協議では東京、神奈川、千葉、埼玉の全会場での無観客開催を決定した。

とはいえ、国民は納得がいかない。緊急事態宣言によって飲食店は規制を強いられ、学校のイベントも中止。それにもかかわらず、五輪は特別扱いとばかりに開催にこぎつけたからだ。IOCの〝ぼったくり男爵〟ことバッハ会長の来日も国民の反感を買った。よりによって日本中が大変な状況下で現れ、羽田空港から宿泊先の都内5つ星ホテルまでパトカーが先導する厳重な警備の中で移動。VIP待遇に満足したのか、ホテルに到着すると車から笑顔で手を振った。

5者協議の冒頭あいさつでは「東京の皆さんようこそ。私、日本に来ましたよ。この日をずっと待ち望んでいました」と上機嫌で話し、この振る舞いも火に油を注いだ。ネット上では「どの面を下げて来てるのか」「誰も待ってないし、歓迎もしない!」などと大ブーイングの嵐だ。

ともあれ、観客問題は2週間前にようやく決着。どうしても五輪をやりたいIOCファミリーは万々歳だろうが、今回の決定は最悪の事態の〝前兆〟と見る向きもある。ある組織委幹部は「無観客は反五輪派の留飲を下げる最後のカード。これを使った以上、次は打ち切りしかない」とささやく。

実は日本側の本音としては、何とか有観客で開幕させて大会時にクラスターが発生したら無観客に切り替えるという〝逃げ道〟を取っておきたかったところ。しかし、都内の新規感染者増加によってそうも言っていられない状況となり、前倒しで〝切り札〟を投入せざるを得なくなった。残された選択肢は開幕前の「中止」か開幕後の「打ち切り」しかない。

すでに海外選手団は続々と来日し、複数の陽性者が発覚するなどバブル方式の〝穴〟も露呈している。仮に開幕後に感染拡大が爆発したら…。五輪史上初の「打ち切り」も全くあり得ない話ではなくなってきた。

© 株式会社東京スポーツ新聞社