3.5ゲーム差は「あってないようなもの」 阪神&巨人に共通する“懸念材料”とは?

阪神・矢野燿大監督(左)と巨人・原辰徳監督【写真:荒川祐史】

阪神が7回降雨コールドで勝利、巨人とは3.5ゲーム差に

■阪神 4ー1 巨人(9日・甲子園)

首位の阪神は9日、本拠地・甲子園球場での巨人戦に4-1の降雨コールドで勝利した。「首位攻防」の第1ラウンドを制し、巨人とは3.5ゲーム差に拡大。失速した6月中旬以降からは息を吹き返した現状も滲むが、球団OBは後半戦に向けた懸念材料も指摘する。東京五輪の中断期間が、優勝争いの命運を左右する可能性もある。

矢野監督のガッツポーズが象徴するように、間違いなく“恵みの雨”だった。3回に敵失に乗じて2点を先取。さらに5、6回と1点ずつ加えて中押しをしたかと思われたが、7回に先発の秋山拓巳が無死二、三塁の窮地を招いた。一気に流れを奪われかねない状況の中、試合は中断。グラウンドには水たまりができるほどで、再開は難しいと判断された。

開幕から首位を快走してきたが、6月をへてデッドヒートに。7月も現状では4勝4敗だが、直近4試合は3勝1敗。「1番の近本(光司)は元気だし、ルーキーの中野(拓夢)も息を吹き返してきた。底は抜けたかなという感じはしますね」。阪神OBで、ヤクルトや日本ハム、横浜(現DeNA)でも捕手として計21年間活躍した野口寿浩氏は分析する。不動のリードオフマンはこの日も2打点。6月に打率.230と苦しんだドラフト6位は、7月に入って3割を超えている。

打線への心配事は多くはない。「誰かが打たなければ誰かが打っている。みんなが打たなくなるという状況は考えにくい」。一方で先発陣も8勝の青柳晃洋を筆頭に、7勝の秋山やガンケル、西勇輝、ドラフト2位の伊藤将司。野口氏も「強固な形はできている」と太鼓判を押す。となると、残るはリリーフ陣。勝利の方程式としてフル回転してきた岩崎優への負担が気になる。

阪神は岩崎の状態が気になるところ、巨人は菅野の復帰が不可欠

開幕から22試合連続の被長打なしと快進撃を続けてきたが、6月に疲労を考慮して登録抹消に。1軍復帰後はここまで6試合に登板し、うち3試合で失点している。「やられる回数が多くなってきている。強烈だった去年と比べてはいけないが、万が一この先に岩崎が不調になった時にどうするかは考えておかないといけない」と野口氏。第2、第3のセットアッパー候補のアテを、後半戦までにつけておきたい。

中継ぎへの不安は、一方の巨人にも。対照的に先発陣が揃いきっていない状況で、リリーフをつぎ込む“マシンガン継投”も少なくない。「続けられて1か月」と野口氏もみる“急場しのぎ”の面は否めないだけに、パンクする前に先発の頭数を揃えたい。メジャー挑戦をへて復帰した山口俊は3戦2勝と頼もしいが、最後のピースはやはりエースの復調になりそうな状況。野口氏も「菅野(智之)だと思います」と言い切る。

阪神はリリーフの厚みを増し、巨人は先発の厚みを増し、リリーフへの負担をいかに減らすことができるか――。形は違えど、優勝争いのポイントのひとつにはなってきそうだ。(Full-Count編集部)

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