読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、40歳、会社員の男性。妻が出産にともない退職。相談者の22万5,000円の月収で暮らしていますが、毎月8万円の赤字が出てしまうそうです。家計再生のために何をするべきでしょうか? 「横山光昭のFPコンサル研究所」のFPがお答えします。
今まで共働きでしたが、産休の時期に妻が仕事を辞めてしまいました。妻が外国人であることと、2回目だったこともあり、産休、育休を申し出にくかったようです。そのため、それからは私の収入だけで暮らしているのですが、毎月大きな赤字となり、貯金が減っています。
全く贅沢をしていないのに、毎月の支出は30万円を超えています。赤字は今の状況では仕方がないと思えるのですが、この支出額は自分のことながら納得いきません。毎月8万円近く赤字になっています。
子どもはもう数カ月で1歳になるので、妻もそろそろ働こうとしてくれ、前の職場に復帰できることになっているのですが、復職後もこの調子だと、いつまでたってもお金が貯まりません。
子どものため、自分たちのためにもお金を貯めていきたいと思うのですが、どのように家計を改善するとよいでしょうか。今のままでは、そのうち貯金が底をついてしまいそうで不安です。
【相談者プロフィール】
・男性、40歳、会社員
・妻、34歳、専業主婦。息子、2歳。娘、10カ月
・手取り収入:月収22万5,000円、年間ボーナス約50万円
・貯金:約200万円
・毎月の支出の目安:30万円
【毎月の支出の内訳】
・住居費(家賃+管理費):4万円(6万5,000円のうち会社が2万5,000円負担)
・食費:8万1,000円
・水道光熱費:1万6,000円
・通信費:1万7,000円
・生命保険料:1万8,000円
・日用品代:1万5,000円
・医療費:1万2,000円
・教育費(保育園代、水泳): 3万4,000円
・交通費:6,000円
・被服費:1万円
・交際費:1万1,000円
・娯楽費:9,000円
・こづかい:1万円
・その他:2万1000円
FP:こんにちは。ご相談いただきありがとうございます。「横山光昭のFPコンサル研究所」のファイナンシャルプランナーの杉原裕介と申します。
奥様の復職が決まっているとのことなので、今が「踏ん張り時」だとは思いますが、ご相談者様のおっしゃる通り、このままズルズルいってしまうと貯金も底をついてしまうので、今のうちに「赤字家計習慣」から抜け出し「黒字家計習慣」にするために、毎月の収支を見直し、貯金が作れ、かつ多少の収入の増減にも揺るがない家計を作れるようにしたいものです。
支出は固定費、変動費の順で見直す
ご相談者のご家庭の場合、貯める努力をする前に、まずは現在の収入の範囲で生活するために、支出をコントロールすることが大切になります。
ポイントは「意識していない支出」を減らすこと。まずは「固定費」を減らすことです。具体的には「住居費」「保険料」「通信費」「習い事」などへの支出を疑ってみましょう。これらは毎月払うと決まっているため、本当に必要なのか考えることなく、いつの間にか当たり前となってしまっている支出なので厄介です。ただ、だからこそこの固定費をきっちり見直せるかどうかが、家計が楽になり貯金ができるようになるかカギになります。
次に「変動費」の節約も重要です。変動費とは毎月金額が定まらないもの、具体的には「食費」「水道光熱費」「日用品」「交際費・被服費」などです。
コロナ禍ではステイホームの影響で、変動費が増えがちとなり、コントロールがうまくいかなくなったご家庭も多いようです。ご相談者のご家庭も変動費が多めなので、その影響を受けているのかもしれませんね。
変動費の節約は、手間と努力(我慢)が必要なわりに効果が薄いのが特徴です。ですから、優先順位としては「固定費」を先に見直し、その後に「変動費」の節約を行いましょう。
まずは通信費から
ご相談者の場合は、固定費のなかでも「通信費」を見直してみましょう。
最近は大手キャリアが次々と安いプランを発表していますし、契約プランや通信事業者を変更することで、1台あたり3,000円台におさめることが十分にできるかと思います。通信費はもはや生活に不可欠な存在であるため、食費や水道光熱費は節約しても通信費は気にしないというご家庭が多いのも事実ですが、一度変更してしまえば節約効果が大きいので、まずはぜひ行動に移してください。通信費だけで月1万円、年間12万円の節約も可能です。
食費は1週間単位で管理するのがオススメ
続いては変動費です。ご相談者様のコメントでは「全く贅沢をしていないのに」とのことですが、贅沢はしていなくても、本当は必要のない「ムダな出費」をしている可能性があります。
「食費」を見てみると、黒字家計を目指すなら理想は「手取り収入の12~15%」におさめたいところです。とはいえ、この理想をそのまま当てはめると、ご相談者様の場合は「毎月2万6,400円~3万3,000円」になるので、現在約8万円かかっている食費をいきなりここまで下げるのはストレスになると思います。過度な節約、我慢はかえって健康を損なってしまったり、ストレスで家計のリバウンドをもたらしてしまうことも多いので、心身の健康をキープしながら、少しずつ行うことをおすすめします。
具体的におすすめな方法は「1週間単位で食費の予算管理をすること」です。例えば、現在は1週間で約2万円の食費がかかっているところを、1週間で約1万5,000円でやりくりしてみましょう。これで1週間で5,000円、1カ月で2万円の節約になります。1週間単位で管理することで、精神的なストレスも減ると思います。もし予算を超えてしまう週があったら、翌週で調整できればOKです。
「回数を減らす」ことも節約につながる
「日用品代」や「交際費」「被服費」などの変動費を節約するのに効果的なのが、「行く回数を減らす」ことです。スーパーやドラッグストアなどは、行くとついつい、安くても無駄なものを買ってしまいがちなので、「スーパーは週に1回」「ドラッグストアは2週間に1回まで」など、あらかじめ行く回数を制限することで、無駄な出費を減らすことができます。
お友達とのランチやウィンドウショッピングなども、行く頻度を減らすことで、毎月数千円の節約ができることも多いです。
夫の収入内で暮らせる工夫をしていけば、今後楽になる
今後、ご相談者に目標としていただきたいことは、まず、夫の収入の中で暮らせるようになること。つまり、家計を黒字化するということです。「今ですら8万円赤字なのに」と思われるかもしれませんが、妻の復職が予定通りに行くのか、長く勤められるのかも不確実でしょうし、今から家計を引き締めておけば、妻が働き始めたら貯金が確実にできるようになるでしょう。
そのために、支出にメリハリをつけ、大切な支出は維持しつつも不要な支出をカットするなど、支出をコントロールする方法を身に着けてください。今まで当たり前に支払っていた支出が、もしかすると当たり前ではないかもしれないと疑うことも大切。家計は工夫が大切ですから、生活が窮屈に感じない程度に、工夫をして支出を下げていきましょう。