4位に沈む王者ソフトバンクは、10日のオリックス戦(ペイペイ)に3―1で逆転勝ち。連敗を3で止め、一夜で屈辱の借金生活を脱出した。
主砲・柳田悠岐外野手(32)が一振りで勝利に導いた。3回二死から三森が中前打で出塁。リードオフマンに定着する22歳の奮闘に燃えた。初球119キロのスライダーを強振。「少し先だった」と振り返った一打は、右翼スタンドに着弾した。12試合ぶりとなる7月初アーチに「本当に久しぶりの本塁打なので素直にうれしいです」と声が弾んだ。
その直前の守りで、勝利への気迫を前面に出してチームを鼓舞していた。3回一死一塁、福田の右翼線への飛球。右中間よりの守備位置から落下地点へ猛ダッシュすると、最後はフェンス際で鮮やかなスライディングキャッチを決めた。先発のマルティネスとナインを勇気づけるプレー。「そうなればいいなと一生懸命ボールを追いました」。茶目っ気たっぷりに笑う姿が柳田らしかった。
8回の攻撃では自慢の脚力を発揮。一死満塁で三走の柳田は、中村晃の浅い飛球で思い切ったタッチアップを見せて貴重な3点目を奪った。
「もう勝ちたい気持ちだけでプレーした。勝つのは難しいと改めて感じています」。少しだけ安堵(あんど)の表情を浮かべると、口元を引き締め直し、野手の気持ちを代弁するようにこう言った。「いつもいつも投手陣に抑えてもらって、援護できなくて申し訳なかった。今日も大して援護できてないんですが、投手の方に抑えてもらって感謝しています」。
打線の低迷が長引くほどに、選手それぞれの何とかしたい気持ちが結果に結びつかず悪循環に陥った。「みんな一生懸命やってるんで。誰が、とかじゃない。一生懸命やっている中で、こうやって一個一個勝っていくというのが一番チーム状態が上がってくると思うんで。また明日いいゲームができるようにという気持ちです」。
勝敗の責任を背負って立つ背番号9。打って、守って、走って――。グラウンドを全力で駆け回る本来のスタイルで、雰囲気を一変させた。