現代自動車のEV貨物車で「火災未遂」 SK製バッテリー搭載車で初

これまで火災事例がなかった韓国SKイノベーションのEVバッテリーを装着した電気自動車で「火災未遂」が起きたことが明らかになった。

韓国メディアなどによると、大邱西部消防署は14日、同日午前9時45分頃、大邱北区の地下車道近くを通った1トン貨物車から煙が発生したと明らかにした。走車の底部から異音が発生し、異臭を放ったことから道路沿いに停車し消防署に連絡した。

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最初に報じた韓国メディア「時事ジャーナル」によると、西部消防署の関係者は、「火花が発生していないので火災と断定はできないが荷台下部のバッテリーパックから煙と臭いが発生した」と説明したという。出動した消防隊員がバッテリーに放水したところ多くの煙が吹き出たと伝えられる。出動した消防隊員は約一時間かけて鎮火したとのこと。

事故車は現代自動車の「ポーター2エレクトリック」(PORTER II Electric)モデルである。事故車のバッテリーは、SKイノベーションが納品した製品であると確認された。煙が出た原因についてはまだ特定されていない。

電気自動車バッテリーが原因であると判断されると、SKイノベーション製のバッテリー搭載車としては初の事例となる。先にLGエナジーソリューションとサムスンSDIのバッテリーが搭載された電気自動車では火災事故が複数発生している。そのためSKイノベーションは、「唯一火災のないバッテリー」として安全性をアピールしていた。

韓国のバッテリー3社は、LGエナジーソリューションを筆頭に世界的にシェアを高めており、市場全体の約3分の1を供給するなど好調だ。しかし、LG製バッテリーを搭載した現代自動車のコナEVは国内外で10数件の火災事故を起こしリコールに追い込まれた。サムスンSDIのバッテリーも、搭載されたBMWのPHEVが火災懸念からリコールしている。

韓国メディアや専門家の間では、電気自動車の火災事故発生率が、エンジン車のそれに比べ各段に低いことから、楽観視する向きがある一方、人命に関わることから、さらなる競争力向上のためにも安全品質の向上を促す声も強い。

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