【中嶋一貴&小林可夢偉】“ダウンフォースのあるモンツァ”で期待する改善。プジョー9X8の“感想”も/WEC第3戦直前インタビュー

 7月18日に決勝が行なわれるWEC世界耐久選手権第3戦モンツァ6時間レース。現地時間の16日金曜午前、FP1の走行開始を午後に控えたトヨタGAZOO Racingの中嶋一貴と小林可夢偉がイタリア・モンツァからリモート形式で日本メディアの質問に答え、レースへの抱負などを語った。

 開幕3連勝を目指す8号車GR010ハイブリッドの一貴は、「僕自身、モンツァでレースをするのは2009年以来だと思うのですが、個人的には好きなサーキット。耐久レースに向いたサーキットでもあると思うので、非常に楽しみにしています」と語る。

「ただ、(コース幅は)狭いですし、昔ながらのデザインのコースでもあるので、いつもどおりではありますが、まずは接触等のミスがないように自分たちの仕事を最後までやり切って、しっかり優勝を目指していきたいです」

 一方7号車の可夢偉は、「最初にヨーロッパに来たときは、イタリアのチームでイタリア選手権に出ていたので、結構知っているサーキットです」とモンツァについて話す。

「アスファルトは変わっていますが、レイアウトはずっと変わっていないという珍しいサーキットになるので、GR010ハイブリッドで走るのが非常に楽しみです。今回はお客さんも入りますが、イタリアは熱狂的なファンの人も多いイメージがあるので、いろんな人がこのレースを楽しめる雰囲気を作れればいいなと思います」

 今季トヨタがWECに投入したル・マン・ハイパーカー(LMH)規定のGR010ハイブリッドについては、開幕2レースでもブレーキなどの部分で熟成段階にあることが伺い知れたが、第2戦後にポルティマオで行なったテストでその改善に取り組み、一定の成果を挙げているようだ。

「ポルティマオのテストでは、ブレーキのフィーリングを向上させるためのテストもしました。それで多少、前進した部分もあります。それがここモンツァでどういう風に良くなっているかは走ってみないと分からない部分もありますが、前回(第2戦)よりはポジティブなフィーリングが得られるのではないかと期待しています」(一貴)

「僕ら(ドライバー)もクルマに慣れてきて、クルマに合わせ込むこともできているし、クルマもできるだけ改善しようとしていて。おそらく劇的には変わらないと思うんですけど、ちょっとずつは変わっていっているので、そこに合わせ込んでいければ、あまり心配する部分ではないのかなと、正直思っています」(可夢偉)

 LMHでは空力がシーズンを通して単一の仕様となるため、超高速レイアウトのモンツァでは本来はダウンフォース/ドラッグを削るべきところが、モンツァでの理想的なセットに対してはダウンフォースのある状態で走ることになる。

 これについて可夢偉は「(ダウンフォースがなく)軽いという感覚がないので、僕らからすると楽ですよ。“ハイダウンフォース”ではないですけど、要するに前回のポルティマオとダウンフォースレベルは変わらないんですよね」と説明する。

 今季はLMP2クラスとの速度差が接近しているが、モンツァについてはハイパーカーとLMP2との「得意なところが違うので、そういう面からはトラフィック処理については期待しています」と一貴。

 ただし「コース幅が狭いので、ごちゃごちゃしたところに入ると抜けないというのはあると思います」とも付け加え、“オールドコース”での気の抜けない戦いに向け、気を引き締めていた。

小林可夢偉とパスカル・バセロン(テクニカル・ディレクター)

■「結構小さく見えた」プジョー9X8ハイパーカー

 なお、今回は現地に先日発表されたプジョー9X8ハイパーカーも展示などのために持ち込まれている。その印象について聞かれたふたりのドライバーは、以下のように語った。

「ちらっと遠めから見ました。単純に、いままでレースをしてきたクルマとはかなりデザインが違うので、新鮮ではありました」と一貴。

「ただ、遠めからは結構小さく見えたのですが、あれがそのままレースをするクルマのサイズになるのかなっていうのは気になりました」

 可夢偉も「あのクルマはおそらく見せ物であって実際には走らないので、レースをするクルマが実際に出てきたときに『これはなんだったんだ』とならないように、あまり期待しないようにしています」と語る。

「あと、あの色はカッコいいなというのがあって、僕の日本にあるクルマのどれかを、あの色にしてやろうかなと思っています」

 WEC第3戦、走り始めとなるFP1のセッションは、現地時間16日の15時30分(日本時間22時30分)にスタートする。

コース下見を行なうブレンドン・ハートレーとマイク・コンウェイ
セバスチャン・ブエミと中嶋一貴

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