初日ワン・ツーのトヨタ。今季初の超高速コースへの適合に「まだやることはある」/WECモンツァ

 WEC世界耐久選手権の2021シーズン第3戦『モンツァ6時間レース』は7月16日、イタリア・ミラノ郊外のモンツァ・サーキットでフリープラクティス1のセッションが行なわれた。今季からル・マン・ハイパーカー(LMH)規定の新型マシン、GR010ハイブリッドを投入しているトヨタGAZOO Racing(TGR)は、このオープニング・セッションで7号車GR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス)が1分38秒401というトップタイムをマークした。

 2番手に8号車GR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/ブレンドン・ハートレー)が0.134秒差で続いた。グリッケンハウス・レーシングの2台目が参加したことによりハイパーカークラスは今大会から5台で争われるが、このセッションでは5台全車が0.684秒以内に収まるという僅差の戦いとなっている。

 GR010ハイブリッドにとって初走行となったモンツァでの最初の公式練習では、WECの次戦ル・マン24時間のコースに似た超高速レイアウトにおいて、マシンがどのような挙動を示すのかを確認する重要な機会となった。GTカーのアクシデントによる15分間にわたる赤旗中断はあったが、セッションが延長されたことでTGRは予定されていたプログラムをこなすことができた。

 終盤軽い雨に見舞われたこのセッションで、チームはタイヤの分析に加え、さまざまな空力およびブレーキのセッティングを評価。この週末は暑くなることが予想され、タイヤ摩耗がレースにおける重要な要素となることが予想される。

WEC第3戦モンツァ、初日FP1で2番手タイムをマークした8号車トヨタGR010ハイブリッド

 初日トップタイムをマークしたロペスは「今日はとてもスムーズな一日だった。セットアップを最適化するためにまだやるべきことはあるが、TGRの2台がトップ2のタイムをマークでき、良いスタートが切れたと思う」とコメントしている。

 同じく8号車のベストタイムを記録したハートレーは、「2台のGR010ハイブリッドは異なるテストをこなし、大きな問題はなかった。我々は常にGR010ハイブリッドの改良を続けており、走行を重ねるごとにクルマは良くなっている」と述べている。

■「順調な一日だった」と小林可夢偉

「イタリアで再び走ることができてとても嬉しいです」と語るのは可夢偉だ。

「私にとって、ヨーロッパでレースキャリアをスタートし、当時住んでいたのもイタリアなので、ふるさとのような感じもあり、コースもよく知っていますし、ここでのレースは楽しいです。私自身モンツァでレースを戦うのは2014年以来なので、再びここでレースができるのは本当に最高です」

「今日の練習走行では、週末へ向けてのGR010ハイブリッドのセットアップ改良を行ない、順調な一日でした」

7号車GR010ハイブリッドの小林可夢偉

 8号車の一貴は次のようにコメントしている。

「モンツァに戻れて嬉しいですし、GR010ハイブリッドでの初走行を楽しみました。私が担当したスティントでは雨粒が落ちてきてしまったり、コース上の混雑に阻まれたりと、簡単ではありませんでしたが、全体としてはうまくいったセッションでした」

「明日はもっと多くの周回をこなし、最大の目的である決勝レースへの準備を進めたいと思っています」

 コンウェイが「(第1戦)スパや(第2戦)ポルティマオとはまったく異なるキャラクターのサーキットなので、正しいセットアップの方向性を見出すために、まだやることはあるだろう」と語るように、エンジニアとドライバーは初日の走行で得られたデータを解析しセットアップを最適化、17日(土)に2回予定されているプラクティスに臨む。

 17日は2回のプラクティスに続き、現地時間18時(日本時間25時)から予選のセッションが行なわれる。

コース下見を行なう8号車GR010ハイブリッドのクルー

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